TOP > Paul Stuart > FEATURE > Paul Stuart men | 【Fall & Winter 2025】男たちよ、都市へ帰れ!─メンズディレクター鴨志田康人が語る、秋冬コレクションのハイライト─
男たちよ、都市へ帰れ!
─メンズディレクター鴨志田康人が語る、秋冬コレクションのハイライト─

ポール・スチュアート メンズコレクションが今季テーマに掲げる“City Slickers”は、ちょっと和訳が難しい言葉です。表面的な意味合いは“都会人”。しかし時には、少々皮肉めいたニュアンスを含むこともあります。
「洗練された都会っ子というイメージだけではなく、世間擦れした大人ならではの格好よさも表現したいという意図を込めて、この言葉を選びました。少年時代からビルの谷間を歩き、人混みに物怖じせず、豊かな文化とモノに囲まれて生まれ育った男。カントリーライフに憧れを抱きつつ、郊外の別荘で一週間も過ごすと、もう都会が恋しくなってしまう……そんな人物像を今季のコレクションに託しています。

彼らは最先端の流行とともに日々を生きつつ、往々にして心の根っこには伝統への深い理解とリスペクトがある。というよりも、無意識のうちにそれが身についているというべきでしょうか。なぜなら伝統とは、人間の営みの中心地である都会のなかでこそ育まれるものだからです。服装でいうなら、たとえば親の影響で子どものころからトラッドに親しんでいるとか、普段着でも上品さを忘れたくないというアティテュードとか、必要なときにはきちんとドレスアップできる素養とか、そういったところにシティ スリッカーズたちが受け継ぐ伝統が滲み出るわけです。ニューヨークで生まれたポール・スチュアートは、まさにそんな人たちのためのブランドといえるでしょう」
シーズンビジュアルのスタイリングは鴨志田ディレクターが自ら担当
軽やかに歩けるアイテムが
コレクションのキーに

「シーズンカタログの制作にあたっては、撮影手法についてアートディレクターやフォトグラファーといろいろな意見交換を行いました。ちなみにスタイリングは僕自身が担当しています。現場では、モデルさんたちにいくつか動きのリクエストもしました。たとえば表紙に使ったこのカット。わざとらしく帽子を扱う様子が、なんとも気取ってる感じですよね。僕が頼んで、あえてこのような表現をしてもらいました。シティ スリッカーの内面は、着るものと同じくらい所作に表れます。その雰囲気をビジュアルに取り入れたかったのです。それから一部ルックの髪型は“ちょっと寝癖っぽい感じで”とリクエストして、いつもより無造作に仕上げてもらったりもしました。“この人、いったい何の仕事してるんだろう?”という風体の人が街を行き交っている様子もまた、都会ならではの光景だと思います」
カジュアルウェアから滲む都会のエレガンスを表現
軽やかに歩けるアイテムが
コレクションのキーに

「前置きが長くなってしまいましたが、今季のコレクションについてハイライトをお話しさせていただきます。全体像としては、シーズンテーマのとおり“シティ”にフォーカスしたルックを柱にしました。ここ数シーズンはカントリージェントルマンなムードの装いを主軸にしていましたので、久々のシティ回帰といえます。とはいえ昔ながらのビジネススタイルを全面に打ち出すのではなく、普段着のなかに薫る都会的なエレガンスやドレス感を表現しているのが特徴です。
具体的には、カジュアルなアウターをコレクションの主役にしているのがポイント。ダッフルコート、ブルゾン、ニットジャケットなど、さまざまなタイプのアウターでルックを構成しました。なかでもキーアイテムとなるのがショートブルゾン。近年浸透したワイドパンツとの相性がとてもよく、クラシックでありながら新鮮なスタイリングを築くことができます。ここにネクタイを結ぶというのがシティ スリッカー流ですね」


「そのほかのスタイリングについても、巻き物使いなどちょっとしたところで都会的なエッセンスをプラスしました。カラーパレットについては、グレイッシュなモノトーンをひとつの軸としつつ、ナチュラルなトーンも取り入れています。あまりビビッドな差し色は使っていないですね。穏やかな配色でスタイリングすることで、カジュアルなアウターを主役にしつつドレス感を表現しています」

「それから、秋冬のサファリジャケットを提案しているのもトピックのひとつでしょうか。サファリ=春夏というイメージですが、気候変動が著しい昨今、秋以降も軽やかに羽織れるアイテムが重要になってきていると感じます。そのひとつの形として、サファリジャケットをおすすめしている次第ですね。先にご紹介したショートブルゾンなども、シーズンをまたいで着られるアイテムだと思います」
スーツスタイルは、遊びや洒落心を大切に
季節の変化を楽しみつつ、
快適に過ごせるアイテムを多彩に

「ここまでカジュアルアイテムばかりご紹介してきましたが、もちろんポール・スチュアートの中核にスーツやジャケットがあるのは変わりません。制服的なビジネスウェアの“一格上”なスタイルをご提案しているのも以前と同様です。エグゼクティブゆえに表現できる遊び心にあふれたビジネススタイル、あるいはファッションとして楽しむためのスーチングを多彩に揃えています。よりパーソナリティを託せるテーラリング、もっと平たくいうなら、色気あるドレスアップをお楽しみいただけるラインナップです」
アメリカン・クラシックというポール・スチュアートのレガシーを受け継ぎつつ、時代のムードを「City Slickers」というテーマに託した今季のコレクションにぜひご注目ください。
