【おしえてカモシタさん】Vol.8 「カモシタ流の服づくり」

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「カモシタさん、そこまで話しちゃっていいんですか!?」 「まあいいんじゃない? そのほうが面白いから(笑)」
撮影中にそんなやりとりまで交わされたほど、今回の内容は過去に例を見ないもの。
ディレクターが数十年にわたるキャリアのなかで培ってきた、「カモシタ流服づくり」のノウハウを特別に公開します。
ポール・スチュアートの最新コレクションを題材にしつつ、知られざるその“ネタ元”まで……服好き必見です!

「カモシタさん、そこまで話しちゃっていいんですか!?」 「まあいいんじゃない? そのほうが面白いから(笑)」 撮影中にそんなやりとりまで交わされたほど、今回の内容は過去に例を見ないもの。ディレクターが数十年にわたるキャリアのなかで培ってきた、「カモシタ流服づくり」のノウハウを特別に公開します。ポール・スチュアートの最新コレクションを題材にしつつ、知られざるその“ネタ元”まで……服好き必見です!

オーセンティックとモダンを両立する鍵は“素材”にあり

オーセンティックとモダンを
両立する鍵は“素材”にあり

「僕がメインフィールドとしているクラシック・クロージングの世界には、長い歴史によって確立された“型”があります。
すなわち、流行や時代を超えて輝きを放ち続けるタイムレスなデザインです。
これを無理に破ろうと思っても、オーセンティック(本物)な魅力を表現することはできません。
では、オーセンティシティ(真正性)を継承しつついかにアップデートを叶えるか。
その鍵になるのが素材表現であると僕は考えています」

「僕がメインフィールドとしているクラシック・クロージングの世界には、長い歴史によって確立された“型”があります。すなわち、流行や時代を超えて輝きを放ち続けるタイムレスなデザインです。これを無理に破ろうと思っても、オーセンティック(本物)な魅力を表現することはできません。では、オーセンティシティ(真正性)を継承しつついかにアップデートを叶えるか。その鍵になるのが素材表現であると僕は考えています」

「たとえばこちら。近年さまざまなブランドが提案しているチョアジャケットです。シルエットやディテールは至極王道的。
しかし、ファブリックにツイストを効かせています。実はこちら、ベルベッドにグレンプレイド柄をプリントしたもの。
遠目からはツイードのように見えますが、とても軽くしなやかなタッチです。
コットンやヘビーなウールといった質実剛健な生地を使うのがチョアジャケットの定石ですので、こういったアプローチはなかなかないのでは。
着心地が快適なことはもちろん、柔らかなドレープ感が効いて見た目にも軽快な印象に映ります」

「たとえばこちら。近年さまざまなブランドが提案しているチョアジャケットです。シルエットやディテールは至極王道的。しかし、ファブリックにツイストを効かせています。実はこちら、ベルベッドにグレンプレイド柄をプリントしたもの。遠目からはツイードのように見えますが、とても軽くしなやかなタッチです。コットンやヘビーなウールといった質実剛健な生地を使うのがチョアジャケットの定石ですので、こういったアプローチはなかなかないのでは。着心地が快適なことはもちろん、柔らかなドレープ感が効いて見た目にも軽快な印象に映ります」

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JACKET¥176,000     TROUSERS ¥69,300

「ちなみにこちら、共生地のトラウザーズもあります。
セットアップとしてもお召しいただけますし、もちろん単品使いもできますので、
上下揃いでワードローブに組み込んでいただければコーディネートの幅がさらに広がります」

「ちなみにこちら、共生地のトラウザーズもあります。セットアップとしてもお召しいただけますし、もちろん単品使いもできますので、上下揃いでワードローブに組み込んでいただければコーディネートの幅がさらに広がります」

カタチはそのまま変えずとも……

カタチはそのまま変えずとも……

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BLOUSON ¥220,000 SHIRT ¥36,300 TROUSERS ¥55,000 TIE ¥19,800

「次にこちら。今季のルックブックにも登場しているスエードブルゾンです。
イタリアのレザーファクトリーに製作を依頼した一着で、フロントはジップ式、
背中にはアクションプリーツとサイドアジャスターがついた、ミリタリーをルーツとするデザインです。
実はこのブルゾンには、インスピレーションになったヴィンテージウェアがあります。
おそらく1950〜60年代のものと思われる、アバクロンビー&フィッチのシティジャケットです。
ドリズラーのようなコットン素材でつくられたものですね。二着を並べてみるとおわかりのとおり、デザインは共通。
しかし素材がレザーに変わることで、全く違う印象に仕上がっていますよね」

「次にこちら。今季のルックブックにも登場しているスエードブルゾンです。
イタリアのレザーファクトリーに製作を依頼した一着で、フロントはジップ式、背中にはアクションプリーツとサイドアジャスターがついた、ミリタリーをルーツとするデザインです。実はこのブルゾンには、インスピレーションになったヴィンテージウェアがあります。おそらく1950〜60年代のものと思われる、アバクロンビー&フィッチのシティジャケットです。ドリズラーのようなコットン素材でつくられたものですね。二着を並べてみるとおわかりのとおり、デザインは共通。
しかし素材がレザーに変わることで、全く違う印象に仕上がっていますよね」

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「コットン素材だと、よくも悪くも古めかしい顔つきですが、しっとりとした上質なスエードを採用することで、
現在の街並みにも映える都会的なシルエットに生まれ変わりました。
このように、素材が持つ力というのは想像以上に大きなものなのです」

「コットン素材だと、よくも悪くも古めかしい顔つきですが、しっとりとした上質なスエードを採用することで、現在の街並みにも映える都会的なシルエットに生まれ変わりました。
このように、素材が持つ力というのは想像以上に大きなものなのです」

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「もうひとつ実例をお目にかけましょう。私が大好きなヴィンテージのダッフルコートがここにあります。
左はリアルなミリタリーウェアで、目付けが1kgほどもある重厚なメルトン製です。
右はそれをロンドンの老舗百貨店・ハロッズがアレンジしたもの。
こちらもずいぶん古いもので、ミリタリーものと同様の重厚感があります。
裏地をチェック柄にアレンジするなど、シティウェアとしての味付けが施されているところが魅力的ですね」

「もうひとつ実例をお目にかけましょう。私が大好きなヴィンテージのダッフルコートがここにあります。左はリアルなミリタリーウェアで、目付けが1kgほどもある重厚なメルトン製です。右はそれをロンドンの老舗百貨店・ハロッズがアレンジしたもの。こちらもずいぶん古いもので、ミリタリーものと同様の重厚感があります。裏地をチェック柄にアレンジするなど、シティウェアとしての味付けが施されているところが魅力的ですね」

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COAT ¥297,000 SWEATER ¥44,000 DENIM ¥33,000 SCARF ¥22,000

「そして、こちらが今季のポール・スチュアートでつくったダッフルコート。
形はハロッズのものを踏襲しているのですが、ファブリックはガラリと変えました。
採用したのは、チロリアンジャケットなどに用いられるローデンクロス。オーストリアの生地で、ウールに丹念な縮絨をかけてつくります。
ヴィンテージメルトンのようなボリューム感がありつつ、それよりもはるかに軽いところが最大の特長ですね。
それからこの色もポイントです。ローデンクロスというと、グレーやモスグリーンのようなカントリーらしい色みが定番ですが、
こちらはフレンチテイストも感じさせるブルー。この発色によって、デザイン自体は旧来と同様でも全く別物の一着ができるわけです」

「そして、こちらが今季のポール・スチュアートでつくったダッフルコート。
形はハロッズのものを踏襲しているのですが、ファブリックはガラリと変えました。採用したのは、チロリアンジャケットなどに用いられるローデンクロス。オーストリアの生地で、ウールに丹念な縮絨をかけてつくります。
ヴィンテージメルトンのようなボリューム感がありつつ、それよりもはるかに軽いところが最大の特長ですね。
それからこの色もポイントです。ローデンクロスというと、グレーやモスグリーンのようなカントリーらしい色みが定番ですが、こちらはフレンチテイストも感じさせるブルー。この発色によって、デザイン自体は旧来と同様でも全く別物の一着ができるわけです」

「こんなアップデート方法もあります。シルクのプリントスカーフですが、柄のモチーフはトラディショナルなドニゴールツイード。
ところどころにネップが入った、昔懐かしい雰囲気のファブリックです。
それを拡大してプリント柄を起こしつつ、ネップ部分をよりポップなカラーリングにアレンジしました。こうすると、
ツイードの重々しい表情とはひと味違う、新鮮な印象の巻き物になります」

「こんなアップデート方法もあります。シルクのプリントスカーフですが、柄のモチーフはトラディショナルなドニゴールツイード。
ところどころにネップが入った、昔懐かしい雰囲気のファブリックです。それを拡大してプリント柄を起こしつつ、ネップ部分をよりポップなカラーリングにアレンジしました。
こうすると、ツイードの重々しい表情とはひと味違う、新鮮な印象の巻き物になります」

「シルクですので実際巻いたときの表情も軽快で、小洒落た雰囲気になりますね。
このように、クラシックなもの、タイムレスな魅力を備えたオーセンティックなモチーフを、生地表現によってアップデートする手法が僕は大好きです。
このようなアプローチによって、何度となく目にしてきた伝統的な服に、時代を超えていけるパワーが宿るんですよね」

ポール・スチュアート 青山本店
TEL  03-6384-5763
東京都港区北青山二丁目14-4 ジ アーガイル アオヤマ 1F
営業時間 11:00~20:00
併設するバー「THE COPPER ROOM(ザ コッパー ルーム)」
18:00~24:00