MADE TO MEASURE SPECIAL 2020-2021 ディレクター鴨志田康人がメイド トゥ メジャーを初体験(後編) フィッターと一緒に理想を求めながらスーツを作り上げていく
充分満足できる既製スーツがあるのに、なぜ私たちはよりパーソナルな「MADE TO MEASURE(メイド トゥ メジャー)」を求めるのか──日本におけるディレクターの鴨志田康人が、ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーに初挑戦。オーダー担当の渡辺雅哉と一緒に、“この秋冬に着たい理想のスーツ”を順々に積み上げていきます。
これから始まる真剣勝負。鴨志田ワールドのメイド トゥ メジャーをぜひご参考に
鴨志田 ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーの手順を簡単に教えてください。
渡辺 通常はまず、ポール・スチュアートが国内外から厳選した素材、メンズですと約100種類の中から、お好みの生地をお選びいただきます。次に、お好みのモデル(型)をお選びいただき、お客さまの体型に合わせながら、細かいサイズ調整・補正を加えていきます。それが終わったら、裏地やボタンなど付属パーツをセレクトしていただき、カスタマイズが完成します。
鴨志田 なるほど。ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーは初体験なので、通常通りでお願いします。
渡辺 了解しました。では、生地選びから始めましょう。
【生地】鴨志田流の生地セレクトの基準は、「着たことのない生地」を着てみたい
渡辺 鴨志田さんがスーツをオーダーする場合、生地を選ぶ基準はありますか。
鴨志田 仕事柄ですが、新しい生地に挑戦することは常に頭にありますね。これまで経験したことがない生地を着てみたいし、今回はシングルブレストのスーツにしますが、自分が選んだモデルに対して映える生地なのかも大事なポイントです。
渡辺 鴨志田さんはプロなので、さすがに絞り込みが早いですね。
鴨志田 自分がポール・スチュアートの秋冬シーズンのために選んだ生地の中からまた選ぶというのは意外と悩むものですね(笑)。
渡辺 最終的に残った2つの生地は、対照的でどちらも良いですね。
右の生地が「CERRUTI(チェルッティ)」、左が「CASENTINO(カセンティーノ)」
鴨志田 「CERRUTI(チェルッティ)」の生地は、一見フランネル調ですが独特なメランジ感があって、シックで格好良い。「CASENTINO(カセンティーノ)」の生地は、好みが分かれますが、今回を逃すともう作れないので悩みます。
渡辺 チェルッティは毛97%・ナイロン2%・ポリエレタン1%、カセンティーノは毛88%・ナイロン11%・ポリウレタン1%です。
鴨志田 今の気分で選ぶなら、断然チェルッティなんですよね。シングルスーツをスッキリとモダンに着るのが旬なので、この生地は皆さんにもお薦めします。
渡辺 片や、カセンティーノは真逆ですね。
鴨志田 カセンティーノの生地は、イギリスでもない、イタリアでもない、まさに「This is Paul Stuart」の色味。しかも、「こんな風に着こなしたい」というイメージがどんどん湧いてきます。……今回は、カセンティーノにしましょう!
【採寸・補正】スーツは肩で着るものだから、肩のフィット感が着心地に直結する
渡辺 次に採寸と補正に入りますが、鴨志田さんは「スーツの着心地の良さ」はどこをポイントにされていますか。
鴨志田 着心地の良さにはいろいろありますが、ジャケットは「肩で着る」ものです。肩にきちんと乗っていることで、動きやすさや美しいフォルムが出るのは大前提ですね。
渡辺 おっしゃる通りです。
鴨志田 といっても、着る人の感覚にも左右されるので、本当のことを言うと、オーダーでベストなものを作るには、一つの店やブランドで3着か4着作らないと、フィット感が出てこないこともあります。
渡辺 それはこちら側も同じで、お客さまの体型の性格や好みを把握していきながら、ベストを組み立てていきます。
鴨志田 「体型の性格」というのは良い言葉ですね。まさに体型は千差万別ですから、「オーダーの1着目で到達点」というのはなかなか難しい。フィッターとの二人三脚というか、お互いを知っていく中でフィット感を高めていくので、お金がかかることですが、出来上がっていくものはどんどん満足感が増していきます。
渡辺 フィッティングでこだわりたい点はありますか。
鴨志田 ジャケットでは、アームホールの下半分、脇に当たる部分の「カマ」をもうちょっと上げたいですね。カマを上げると、腕がより上げやすくなります。カマを補正できるオーダーは貴重ですよ。
渡辺 分かりました。カマ位置をしっかり採寸して、腕の可動域を上げましょう。
鴨志田 自分の体型で気になる部分はどこですか?
渡辺 なで肩は補正を入れましょう。パンツは股下に合わせて腿(もも)、膝と正確に採寸できるので、パターン(型紙)で補正してアイロンでクセ取りしていきます。上着もそうですが、生地が余って見える部分を補正していくと、シルエットがきれいに出ます。
鴨志田 ヒップもいわゆる平尻なので、補正をお願いします。
【付属パーツ】メイド トゥ メジャーのスーツの納期が1ヵ月~1ヶ月半かかる理由
鴨志田 裏地は総裏で、程よく軽快でモダンに見える生地を選びます。ボタンは遊ぶのは好きじゃないので、オーソドックスなものにします。
渡辺 さすが、生地が決まっていると付属パーツ選びは早いですね。
鴨志田 ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーはどういうお客さまが多いのですか。
渡辺 私のお客さまでは、20年以上ご愛用いただいているビジネスマンから、就職記念に作られる20代の方までいますが、多いのは30代、40代の働き盛りですね。一度着心地を気に入っていただくと、体型が変わらなければ生地を選んでいただくだけなので、シーズン毎に来店される方も多いです。
鴨志田 納期はどれぐらいですか。
渡辺 ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーは、パターンオーダーのパーツを組み合わせて作るのではなく、オリジナルの型紙を作ります。細かい体型補正のデータを型紙に反映させるのに時間がかかるので、納期は1ヵ月から1ヶ月半いただいています。
鴨志田 良いスーツは1ヶ月半ぐらいかかりますよね。
渡辺 鴨志田さんがポール・スチュアートのためにセレクトしている生地は、縫製が難しい生地が多いのと、生地の風合いを壊さないために、縫製工場のスポンジング(蒸気と熱を当て地を合わせる工程)が通常より温度を低く設定しているので、時間がかかります。縫製の手作業の部分が多いのも特徴ですね。
鴨志田 日本の工場は、仕事が丁寧できれいで、正確に仕上げることには定評があります。
渡辺 仕上げに関しては、工場と直接話ができるのが大きいですね。細かく補正を入れているので、工場と連絡を取り合うこともよくあります。
オーダーは難しいが、それ以上に楽しい。「鴨志田モデル」のお披露目に乞うご期待!
鴨志田 採寸補正から付属パーツのセレクトなど、アドバイスをありがとうございました。
渡辺 鴨志田さんはオーダーの達人ですが、一般のお客さまへのアドバイスはありますか。
鴨志田 生地を選ぶ際、生地見本が小さいので、自分が思い描いたイメージ通りに出来上がるのか心配になる方は多いと思います。何度か経験していくと、イメージのズレは少なくなりますが、期待以上の出来上がりになることを楽しむのが生地選びでもあるので、渡辺さんのようなベテランフィッターの意見はよく参考にしてください。
渡辺 鴨志田さんのように、「着こなしが連想できる生地」は、出来上がりのズレが少ないと思います。
鴨志田 フィッティングに関しては、細かくアドバイスをいただいて、補正すると格段に良くなるのが分かったので、安心していいものができるなと思いました。フィッターのアドバイスは着心地の良さに直結するので、任せるのが間違いありません。
渡辺 ご自身で、「どこをどう改善したいか」を意識していただくと、補正も的確になります。
鴨志田 オーダーは着心地の良さの追求と同時に、きちんと見えることが一番大事。「どういうコーディネートで着こなすか」までイメージを持って作ると、出来上がってから何倍も楽しめます。
渡辺 鴨志田さんのオーダー内容と同じものが作れますので、ファンの方はぜひ同じ生地と仕様でメイド トゥ メジャーをお楽しみください。
ポール・スチュアート「メイド トゥ メジャー」キャンペーン開催中!
2020年9月30日(水)まで、ポール・スチュアート全店舗で「メイド トゥ メジャー」キャンペーンを開催中です。
キャンペーン期間中は、メンズ・ウィメンズそれぞれ特別価格にてご案内。
メンズは、オーダー時のアップチャージ金額、通常 スーツ¥10,000(+TAX)、ジャケット(一部)¥7,500(+TAX)のところ、無料にて承ります。
ウィメンズは、オーダースーツの仕様オプションにかかるアップチャージ金額、通常 ¥8,000(+TAX)のところ、無料にて承ります。
※仕様オプション:本切羽¥2,000 (+TAX)・内ポケット仕様¥5,000 (+TAX) ・フラワーホール追加 ¥1,000 (+TAX)
ぜひお近くの店舗へ足をお運びいただき、ポール・スチュアートの上質なスーツをお試しください。
開催期間/2020年8月19日(水)~9月30日(水)
対象店舗/全国のポール・スチュアート店舗