【Paul Stuart AOYAMA SPECIAL MOVIE】 PRECIOUS EXPERIENCE FOR YOU


 

ポール・スチュアート創業82年目の昨年11月、東京・外苑前にグランドオープンしたポール・スチュアート 青山本店。ニューヨーク・ミッドタウン45丁目にあるNY本店と、日本のフラッグシップストアを結ぶものは、服だけではありません。動画制作のディレクションを務めたFUTURE INNの小沢 宏が、ポール・スチュアート 青山本店について語ります。

 

 

──昨年11月にポール・スチュアート青山本店を初めて見たときの印象を教えてください。

 

それまでの表参道にあったお店と比べてしまうのですが、サイズ感がコンパクトになった、ということ。クラシックで重厚感があった以前のショップに対して、モダンな印象を受けました。また、立地に関しても以前のお店はエリア的には原宿だったので、ともすると顧客と場所にギャップが出てしまっている部分もあったと思いますが、青山三丁目というショッピングエリアから外れた立地は、ポール・スチュアートのブランドイメージとマッチしていると感じました。

 

 

──今回の動画を制作中、最初の印象と変わった点はありますか。

 

「コンパクト」ということについては印象がガラリと変わりました。商品の見せ方やメンズのテーラードルームの奥にあるフィッティングルーム兼VIPスペース、また併設されているバーの優雅さなど、スペースの使い方や強弱のつけ方など、実際の広さよりも広々とした空間に身を置いている、という気がします。

 

また「モダン」という点についても、所々に配置されたアンティーク家具やコリドーを仕切るためのブラインドなど、『進化したクラシック』とでも表現できるようなしつらえがあり、「なるほど」と思わせる点が多々ありました。

 

 

 

──今回の動画はどういうテーマで、どこに力点を置いて構成していますか。

 

僕はポール・スチュアートのSPECIALコンテンツの編集ディレクションをしている、ということもあって、どういう経緯やコンセプトで新しいフラッグシップストアとしての、この青山本店が出来上がったのか詳しく知っています。そんな中、非常に興味深いと感じたのが、『昼間の顔と夜の顔の違い』という点です。

 

オープン時には青山通りから自然光が燦々と降り注ぎ、店内は心地いい光に満ちています。そして時間の経過とともに、街が夕方から夜へと変わるとき、バー「ザ コッパー ルーム」がオープンします。昼間の光は、夜の車のヘッドライトへと変わり、また店内の照明も彩度を落としたムーディーでリラックスしたライティングに変化します。

 

以前、まだ緊急事態宣言が出る前に、何度かバーにお酒を飲みに行ったことがあるのですが、日中のいわば「洋服屋」としての気配をあえて消して、でもほんのわずかに服屋であることも感じさせるような空間で、本格的なウイスキーをいただく、という経験は格別なものでした。そんな「昼と夜」「光と陰」「服と酒」といったコントラストが他のショップにはないこのポール・スチュアート 青山本店だけが持つ魅力だと思い、その気分を映像で表現すべく制作しました。

 

もう一点は、コロナ禍で実際にこのショップに足を運ぶことができない、ポール・スチュアートのショップスタッフの方々のことをとても強く意識しました。本来なら出張の折りやプライベートで東京に来た際に来店してお店の良さを体感できるはずが、このような状況ではそれもままなりません。そんな地方のスタッフに向けてこのお店の素敵さを感じてもらえればいいな、というところも意識しています。

 

 

 

──今回の動画で、「ポール・スチュアートらしさ」をどう表現しようと思いましたか。

 

エントランスを入ってすぐのセンター通路を「コリドー」と呼んでいます。通常はポップアップスペースに使われているのですが、普通に考えるととても贅沢な仕様です。なぜならそのスペースも売り場にしてしまえば、その分商品もより多く並べられるし、その分売上も上がるからです。しかしあえて無駄とも思えるような贅沢な配置にする。これこそがポール・スチュアートというブランドが持つラグジュアリーさにも通じるのでは、と思いました。

 

今回そのコリドーを撮影するために、ポップアップの商品を外して撮影したのですが、何も置かれていないコリドーの贅沢さというか優雅さを初めて体感しました。商品はファンであるお客様なら十分ご存知だと思いますが、それが空間にも表されているというところが『らしさ』につながるのかな、と思います。

 

 

 

──NY本店との共通点のようなものは感じましたか。

 

2019年にやはり動画撮影のためにNYのお店を訪れました。そこにもコリドーがあり、圧倒的に広大なスペースと「これでもか!」というくらいの商品量など、息を飲むという言葉でしか表現できない店でした。それと比べると、共通点というより、すごく『トウキョウナイズされた』お店という印象です。本当のNYのエスタブリッシュを理解できているかどうかは分かりませんが、NYのポール・スチュアートの顧客やアイデンティティと東京のポール・スチュアートのそれ、との違いが店造りにも表れているような気がします。

 

 

 

──ポール・スチュアート青山本店は、東京のファッションショップとして進化している点はありますか。

 

東京のセレクトショップはいつからか「ライフスタイルショップ」を標榜して、生活雑貨やカフェなどを併設する店が多くなりました。それはそれであり、なのですが同じような切り口のショップが多くなり、また必然性という点ではクエスチョンマークがつく店も残念ながら存在します。それに対してこのポール・スチュアート 青山本店が圧倒的に違うのは、本格的なバーが併設されているところです。これはけっして単なるイメージアップのためだけではありません。

 

先日もお店に伺ったのですが、午後のまだ早い時間に妙齢の女性が二人、お買い物のついでにシャンパンを飲んでいました。また、夕方お店にいたときには、熟年のカップルが服をスルーして、サッとバーのカウンターに座り、「今日は何を飲もうかな?」とバーテンダーと相談していました。後でバーテンダーの方に聞いたら二日続けての来店だったそうです。かと思うと、平日の昼間にゆっくりとショッピングされる老紳士や女性を見かけることも多く、『ファッション民度』が高い店であることを実感させられます。進化しているかどうかは別として、あるべき姿としてこの店は存在しているのだと思います。

 

 

ポール・スチュアート 青山本店

TEL 03-6384-5763
東京都港区北青山二丁目14-4 ジ アーガイル アオヤマ 1F
営業時間 11:00~19:00
併設するバー「The COPPER ROOM(ザ コッパー ルーム)」
営業時間 14:00~20:00(※ラストオーダーは19:00)