ラルフ・オリエンマが語るヴィターレ・バルベリス・カノニコの魅力
「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ」(以下VBC)の一番の魅力は、英国的な生地の美しさを理解している懐の深さ――ポール・スチュアートのクリエイティブディレクターであるラルフ・オリエンマは、ウール織物で有名なイタリア北部ビエラ地区の中でも名門と称されるVBCの生地をそう語る。VBCとポール・スチュアートのコラボレーションを記念したイベントを開催した伊勢丹新宿店メンズ館に、今回のイベントのために仕立ててきたダブルブレストブレザーとパンツで颯爽と登場した。
Photo. Shimpei Suzuki / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN
軽く、柔らかく、発色の良さがあり、シェイプをきれいに保つVBCの生地
ラルフ・オリエンマ(以下オリエンマ) 高品質でコストパフォーマンスに優れたVBCの生地はNYでもよく使っていて、ジャケット、コートから、カジュアルなブルゾンまで広く展開しています。VBCの魅力は、イタリアの会社でありながら、イギリスのセンスや感覚を理解したファブリックを作っていることですね。英国的なオーセンティックさを上手に表現しています。
――今日のブレザーとパンツは新調されてきたそうですね
オリエンマ はい、今回のイベントのために仕立ててきました。特にジャケットのフランネル素材が気に入っています。パンツはテーパードしたシェイプが特徴で、ダブルブレストブレザーとの組み合わせは、1930年代に活躍したフレッド・アステアの着こなしからインスピレーションを得ています。
――VBCの生地を着てみて感じることを教えてください
オリエンマ 自分が思い描いたデザインに忠実に作れるし、なにより仕立てた後もシェイプをきれいに保つ(保形性)ことができるのは、着る人にとって大きなメリットです。
同じ素材を使って、カジュアルからドレッシーまで表現できる優れた生地
――会場に5つのルックがありますが、どれも魅力的です
オリエンマ 今回はVBCの機能性ファブリックにフォーカスしたコラボレーションで、ルックはとてもエレガントかつドレッシーです。タートルネックニットをインナーに着たスタイリングは、スポーティーでありながらきちんとエレガントで、ポール・スチュアートらしいスタイリングですね。男性の定番であるM-65フィールドブルゾンまで仕立てられる生地は、作り手から見ても大いに魅力的で、同じ素材でカジュアルからドレッシーまで表現できることに可能性を感じます。
――特にラルフさんが気に入っている素材はどれですか
オリエンマ 革新的でお薦めなのは、機能性素材の「SUPERSONIC(スーパーソニック)」ですね。ウール100%でありながらナチュラルストレッチ機能を備え、防シワ効果を発揮する弾力性も持ち合わせています。タッチはウール100%と変わりませんが、テクニカルでモダンな感じを与え、特にベーシックなスーツラインに適しています。“モダン・センシビリティ”とでも言うべき繊細な感覚がわかっているファブリックです。