ニューヨーク通信 Vol.3 アフターコロナのニューヨーカースタイル


 

リンカーンセンター(Lincoln Center)が、期間限定(9月末まで)の芝生スペース、「ザ・グリーン(The Green)」として開放されている。
思い思いの時間を過ごすニューヨーカー。

 

ニューヨーク州では、昨年3月7日に出されたコロナ禍における非常事態宣言が、2021年6月24日に解除されました。18歳以上の成人のワクチン接種率(少なくとも1回の接種)が70%を超えたニューヨーク州は、6月15日以降、コロナ対策のための規制もほぼ解除されています。ワクチン接種は予約、待ち時間無く可能で接種場所は病院、薬局、地下鉄ターミナル駅構内、動物園、ヤンキースやメッツの公式野球場など様々な施設で提供されており、街中では移動式施設のワクチンバスやワクチンバンも出現しています。

 

Photo. & Text. Fumi Suzuki / Satoshi Suzuki
Edit. FUTURE INN

 

マスク離れが進むニューヨーカー

マンハッタンの街角に設置された、ニューヨーク市が運営する移動式のワクチン接種バン。

 

宣言解除後のニューヨークでは、夏本番を迎えたこともあり街には人出が増え、コロナ禍前の活気が戻ってきました。ショッピングを楽しむニューヨーカーや、在宅勤務からオフイスに戻ったビジネスマン、ビジネスウーマンの他に、国内外からの観光客と思われる人の姿もさらに多く見られるようになりました。

 

コロナ禍で長く閉まっていた街角のニューススタンドも営業を再開。

 

Walter(ウォルター) / マーケティング業
彼のように、手首にマスクを付けて歩いている人を多く見かける。ユニオンスクエアにて。

 

Felipe(フェリペ) / 建築家
友人と待ち合わせてピクニックへ。リトルアイランドにて。

 

5月21日にオープンした、ハドソン川に浮かぶ小さな島「リトルアイランド(Little Island )」は
高低差のある丘や芝生スペース、広場、屋外劇場などがある木々や草花あふれる公園。芝生スペースではピクニックを楽しむ大勢の人々の姿。

 

公共交通機関や学校、医療機関等では引き続きマスク着用が必須ですが、屋外ではマスクをつけていない人の数が急激に増えています。特にセントラルパークなどの公園や、タイムズスクエアなどの観光地でのマスク着用率はとても低いです。小売店では「マスク着用必須」のサインを掲げているところが多いですが、店によって対応が異なり、店員がマスクつけていない店も増えています。

 

Brandon(ブランドン) & Michael(マイケル)
リティルストア セールススタッフ
彼らが働く店では、ワクチン接種完了者であればマスクは着用しなくてもよい。

 

コロナ禍以降、多くのレストランが感染防止対策として屋外テーブル席を設置しており人気ですが、最近は暑さにより屋内飲食する人も増えています。店内では人数制限がなくなり、ワクチン接種完了者以外はマスク着用を求めるレストランも多いですが、つけている人はほとんどいない状況です。

 

歩道、車道の両方にテーブル席を設置したSOHOのレストラン。

 

スポーツ観戦も脱コロナスタイル

スポーツ観戦、コンサートなどのイベントは、屋内外の開催で条件が異なるものの、コロナ関連の規制はほぼなくなりました。メジャーリーグのニューヨークヤンキースとメッツのスタジアムでは、100%の観客で試合が行われるようになりました。

 

大のヤンキースファンである筆者夫婦は、6月29日に行われた、今日本で注目の大谷翔平選手の所属するLAエンゼルスと対戦の試合をヤンキー・スタジアムで観戦しました。

 

ブロンクスに位置する「ヤンキー・スタジアム(Yankee Stadium)」ミッドタウンから地下鉄で約30分。入場ゲートでのセキュリティーチェックは厳しい。コロナ陰性証明やワクチン接種証明の提示は必要なくなった。

 

当日の球場は定員の49%の観客数(23,000人)で、観客のマスク着用率は5%程度でした。最初はマスクをつけないことにためらいのあった私たちも、屋外の開放感もありマスク無しで観戦を楽しみました。大谷選手が、2打席連続の本塁打を放つ大活躍のうえ、ヤンキースの勝利という見応えのある試合でした。

 

敵地ヤンキー・スタジアムでも大谷選手の活躍は大きな話題となっている。ブリーチャー(外野席)のヤンキースファンからはブーイングも。

 

マスクなしの観客で埋まるヤンキー・スタジアム、ここにもニューヨークの日常が戻ってきている。

 

ワクチン接種の普及で、経済再開が急激に進むニューヨーク。7月4日の独立記念日の3連休の週末には、各地で恒例イベントが開催され大いに盛り上がりました。コロナ禍でニューノーマル(新しい常識)が根付いたように、これからはアフターコロナの状況での新しいルールが出来ていくことでしょう。アメリカ全体ではコロナウイルス感染者数が下げ止まっていると報告されており、まだ不安や懸念は残りますが、世界最大の感染都市であったニューヨークが日常を取り戻し、収束に向かっている事を素直に喜びたいと思います。