盆栽もコートも
次世代に継承する文化だ

盆栽プロデューサー

小島鉄平

TEPPEI KOJIMA

盆栽という日本の伝統的な文化を、自身が愛するストリートカルチャーという切り口で現代に甦らせた小島鉄平さん。今最も光り輝く彼の眼に、英国クラシックをルーツにもつライディングコートは、どのように映るのか?

小島さんはダークカラーのイメージが強かったので、今回のコートスタイルは新鮮でした!
ありがとうございます。実は普段は盆栽の色を邪魔しないように、黒い服を着ることが多いんです。
ストリートカルチャーの視点で“BONSAI”を再定義した第一人者である小島さんにとって、英国クラシックをベースにした今回のライディングコートは、どんな存在にあたるんでしょうか?
やっぱり大人のコートですよね。往年の俳優さんのスタイルを見ても、ビシッとキメるときに着る服というイメージは強かったと思います。ただぼくもいつの間にか40代になって、意外にもこういうコートをラフに着こなせることに気づきました。余裕が出てきたんでしょうね(笑)。なんならTシャツの上から羽織ってもいいかもしれません。
実は今回小島さんに着ていただいたコートは『100年コート』といいまして、MADE IN JAPANのプライドにかけて、手入れをしながら世代を超えて着られるコートを目指したものなんです。どこか小島さんのお仕事と近いものを感じているのですが。
すごく親和性があると思います。ぼくが生業とする盆栽には“所有”という概念はあまりなくて、むしろ次の世代に継承するという考えを大切にしているんです。手入れ次第では何千年だって生きるものだし、完成は永遠にない。ぼくたちがどれだけ手を加えても、次の世代にまた別の解釈を施されて、代々受け継がれていく。それってある意味では、ジーンズもコートも同じですよね? だからぼくは盆栽は究極のヴィンテージだって言い続けているんです。実は盆栽にとっての100年って、それほど大した時間でもないんですが(笑)。
時間軸はだいぶ違えど(笑)、確かにそう思います!
この『100年コート』もぼく一代で終わるわけではなく、息子から孫へと受け継がれていくんでしょうね。ぼくが伝えたいのは、まさにそういう“モノを大切にすることのかっこよさ”なんですよ。
本当に100年継承されていったら、つくり手冥利に尽きますね。
実は盆栽って、水をあげなかったり光を当てなければ、1週間で枯れてしまう生き物なんです。ただし人間がちゃんと手をかけてあげれば、100年どころか永遠にでも生き続ける。人間と共存して初めて成り立つ文化なんです。
私たちもただコートを売るだけではなく、モノを大切にする文化もセットで伝えていきたいと思います!
 
<100年コート>極KIWAMI バルマカーンコート
 ¥264,000

小島鉄平/盆栽プロデューサー
1981年千葉県柏市松葉町出身。ストリートカルチャーに多大な影響を受けた青春時代を経て、アパレル業界でバイヤーとして活躍。海外での買い付けを重ねるなかで日本文化の奥深さを知り、その象徴である盆栽の道へ。2015年に「TRADMAN’S BONSAI」を結成し、翌2016年に株式会社松葉屋を設立。盆栽に宿る和の精神性を、ストリートカルチャーを媒介にして世界に広める。近年は“伝統とは革新の連続である”という信念のもと、盆栽に現代の感性と美意識を掛け合わせ、数多くのブランドや空間との融合を実現。shu uemura、NIKE、Dior、RIMOWAをはじめとする国内外のブランドとのコラボレーションを手がける。

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