TOP > 三陽山長 > FEATURE > 【Begin特別編集「100BASICS」掲載】一枚革を丁寧、真摯に手吊り込み。“革の彫刻”と称したい「零」

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知っておくべきロングライフデザイン
Made in Japan 100

「ニッポン靴の最高峰」を標榜し、クオリティの限界を突き詰める三陽山長。その究極といえるのが「零」シリーズです。名前の由来は、アッパーを完全な一枚革、すなわち継ぎ目ゼロで仕立てていること。通常の革靴は、完成形から逆算した型紙に沿って革を裁断し、それを縫製する段階である程度の立体を形作ってから木型に吊り込みます。が、「零」には型紙が存在しません。ざっくり楕円形にカットされた一枚革を、吊り込みの技だけで靴の形にしていくのです。

最初はあちこちが波打った状態ですが、それを丁寧に吊り込んで、“革の彫刻”のようなシワひとつない立体が完成。そこで初めて履き口の穴を開け、一旦木型からアッパーを外して縫製してから再度吊り込みます。とんでもない手間をかけた“二度吊り”によって生まれる靴は、まさに“本格靴文化遺産”。この技をぜひ後世に!

濡らしたレザーが乾かぬよう
一時間以上、手吊りし続ける

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短いピッチで吊り込まれ
ヒールのシワが消えたっ⁉

短いピッチで吊り込まれ
ヒールのシワが消えたっ⁉

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水に浸けて柔らかくした革を、“ワニ”という道具で伸ばしながら木型に吊り込みます。留めた釘を何度も外しながら細かく吊り込みを重ねることで、シワ「零」の完璧な立体に。

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ホールカットの「壱」、ストレートチップの「弍」、タッセルローファーの「参」というバリエで展開。「弍」には継ぎ目があるように見えますが、実はコレ、ホールカットにあえてステッチを走らせてストレートチップのような“絵”を描いたもの。なんとも贅沢な遊び心です。

▼【零-ZERO-】ゼロシームという職人技の頂点 ▼

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