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三陽山長の限定“手染め靴”
その製作風景をレポート!

三陽山長では、ものづくりの奥行きをより深く感じていただける特別なモデルを企画。
その限定モデルとしてお目見えするのが、「榛摺」(はりずり)です。
日本随一のカラリストと協業し、一足一足手染めで色を重ねた、アルチザナルな表情が魅力の一足。その奥行きある表情は、どのようにして生まれるのか。
そのメイキングストーリーを、革靴偏愛エディターが取材してきました。

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【取材する人】
編集者・小曽根広光

スニーカーブームには目もくれず、365日革靴を愛用。三陽山長のファクトリーをまる一年かけて取材したり、木型から開発した「光」シリーズを企画したりと、かな〜りディープなお付き合いをさせていただいています。

色彩と同時に“陰影”を
描き出す無二の手染め技

「今季、これまでとは少し違ったアプローチの靴を企画しているんです」 ―― そんな一報を三陽山長から受けてやってきたのは、東京都世田谷区・千歳烏山。地元の活気にあふれた駅前エリアの一角に佇む「Fg-trente」(エフジートラント)という名のアトリエに入ると、レザーカラリストの第一人者として知られる藤澤宣彰さんが笑顔で出迎えてくれました。そこに用意されていたのは、“これぞ手染め!”という圧倒的な色彩美をたたえた一足。「榛摺」(はりずり)と銘打たれた限定コラボモデルとのことで、名前の由来は万葉集にも詠まれている日本古来の色名にあるんだとか。

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アンティーク調のムラ染めを施した革は既製品にも存在しますが、こちらは色の奥行きが段違い。その理由は、染色されていない肌色のレザーで靴を仕立ててから、一足一足手で色付けを行っているためです。藤澤さんによれば「色を塗っているという意識ではなく、“陰影”を表現するような感覚で仕上げています」とのこと。確かによく見ると、ウェルト周りやウエストのくぼみといった影になる部分は濃いトーンに、光が当たるヴァンプ周りは明るいトーンに仕上げられ、両者が自然なグラデーションでつなげられていることに気づきます。さらにキャップや羽根周りなど革の継ぎ目部分には一段濃い色が乗せられていて、カッティングのラインが強調されていることがわかりますね。つまり、三陽山長の真骨頂である造形美が手染めによって最大限に際立っているということ。藤澤さんはさながら、超一流のメイクアップアーティストといったところですね。

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木型は三陽山長のマスターラスト「R2010」で、トウキャップにパーフォレーションをあしらったパンチドキャップトウ。レースステイの横には「友二郎」でお馴染みのスワンネックステッチをあしらっています。至極ベーシックですが、意外と既製靴コレクションには存在しないデザインということですね。上級ラインである「匠」シリーズと同じフレキシブルグッドイヤーウェルト製法を採用しているのもポイントで、新品のときから柔らかい履き心地を味わえます。細かいところでは、ヒールの積み上げを少しだけ高く変更している点にも注目。色気のある手染め靴の表情によくマッチしています。

「榛摺」(はりずり)はこうして染められる!

と、藤澤さんご本人の前で「榛摺」の解説をひと通り伺ったところで、「ちなみに……実際どのように手染めを行っているのか、実演いただくことはできますか?」と無茶振りをしてみました。すると藤澤さん、「あいにく『榛摺』は今、染め上げる前のものが手元にないのですが、同じ三陽山長の『零』シリーズを染めてみましょうか」とうれしいひと言。実は同時並行で「零」シリーズの手染めプロジェクトも進んでいるんだそうで(詳細は後日!)、デザインは違えどベースの革や手染めの技法は共通。お言葉に甘えて、手染めの実演をお願いしました。

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ご紹介が遅れましたが、こちらがFg-trenteの藤澤宣彰さん。シューズショップのワールド フットウェア ギャラリー、シューケアブランドのコロンブスを経て独立し、数少ない独立系レザーカラリストとして活躍しています。

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靴職人と提携し、自身でもオーダーメイドのシューズブランドを展開。藤澤さんのアトリエにはそのサンプルがずらりと並んでいました。手染めゆえにオンリーワンの色を表現できるのが一番の醍醐味です。

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染める前の靴はこんな状態。アッパーはフランス・アノネイ社の「ヴェガノ」で、全く染色を施していない革で仕立てた靴を藤澤さんのもとへ引き継ぎます。

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三陽山長のために調合された染料を用い、すべて手作業で色を入れていきます。ちなみに写真は「零」シリーズ用に紫の染料で色付けを行っていますが、「榛摺」の場合は茶系の染料を使用。最初に地色をしっかりと入れ、ムラが出ないようにすることが重要だそう。海外の手染め革には、効率を重視するあまり地色の入りが甘いものも少なくないのだとか。その点、藤澤さんの仕事には一切の妥協がありません。

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地色を入れ終わったら、次に登場するのは無色の靴クリーム。ちょっと意外ですよね。その理由を尋ねたところ「染料にはアルコールが含まれているため、地色を施したあとの靴は水分が奪われて乾燥した状態になっています。そこにクリームを入れることで、革本来の質感を取り戻すことがまずひとつ。と同時に、クリームの油分が乗ることで染料の発色が変わるため、表現したいトーンに合わせてクリームを使い分けていきます。クリアな透明感を出したいときは乳化性クリーム(右)を用い、濃いめのトーンやくすんだような質感に仕上げたいときはグリース(左)を使っていますね」とのこと。これは奥が深い!

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クリームを入れ終わったら、再び染料の出番。まず、コバ周りなど“影”を表現したいところに濃い色を付けていきます。「ちなみにここでも、先ほど入れたクリームの効果が表れてきます。クリームの油分がない状態で色付けを行うと、塗り重ねた部分にくっきりとしたムラが出てしまうんですね。水性絵の具で画用紙に色を塗っていく様子を思い出していただけるとわかりやすいかもしれません。しかしクリームの油分の上から色を付けることで、ムラがぼんやりと滲んで自然なグラデーションが生まれるんです」と藤澤さん。

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場所によっては、ブラシも駆使して色を付けていきます。「ブラシに染料をとったあと、布で極力染料をぬぐい落としてから使っています。そうするとアイシャドーのように、ふんわりとした色が付けられるんです。全体的にグラデーションが自然になるよう意識していて、スポンジや筆、指の腹、指先などを使い分けて階調をつけていますね」と話す藤澤さん。まさにメイクアップと同じ要領です。

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色付けが終わったら色止め剤を全体に塗り込んだ後、ワックスでポリッシュを施せば完成! 今回、初めて藤澤さんの手染め技を最初から最後まで拝見しましたが、想像以上の技巧が凝らされていることに驚きました。今回はハイライトのみをかいつまんでご紹介しましたが、後日その詳細をお伝えしたいと思います。
唯一無二の手染めが施された限定モデル「榛摺」は現在、三陽山長の各ショップ&ECサイトで発売中。
ぜひチェックしてみてください!

職人の手仕事が息づく〈匠〉シリーズ。
その一足一足には、造形美と履き心地を極めた日本の靴づくりの粋が込められています。
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▼ 詳しくはこちらより ▼

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日頃より三陽山長をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

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詳しくはこちらより

Leather ENCYCLOPEDIA 革にまつわる気になるハナシ Vol.02
【令和八年 春夏のパターンメイド受注会】「特別限定革」御紹介