

一枚革を二度吊りで作る革靴遺産
―― その名は「零」
一枚革を二度吊りで作る革靴遺産
――その名は「零」
お値段30万円超 ! ニッポン既製靴の常識を打ち破る挑戦に打って出た三陽山長。今年の初めに発表した頂上ライン「零(ゼロ)」シリーズで、さらなる躍進を果たしました。もちろん価格に見合うだけでなく、そのクオリティも史上最高レベル。特筆すべきは、シリーズ名の由来にもなっている「ゼロシーム」仕立てです。
一般的なホールカットは、かかとやサイドに1箇所は継ぎ目が入るのが通常ですが、「零」ではそれすらも排除。まさに“継ぎ目ゼロ”の一枚革仕様です。では何が違うのか? それは、製造の手間と難易度が、比べものにならないほど跳ね上がるということ。アッパーの裁断は、おおまかに楕円形にカットするだけ。それを職人が手作業で木型に吊り込み、靴の形に仕上げていきます。一度吊り込んだあと、木型から外して縫製(製甲)を行い、再び吊り込み直すという、通常の2倍以上の手間を要する工程です。しかも、一枚革を少しのシワもなく美しく吊り込むのは、まさに至難の業。卓越した技術と実直な職人魂を兼ね備えた作り手が、そのポテンシャルをフルに発揮して、ようやく完成する一足です。
これは、もはや“世界に誇る革靴遺産”。本格靴を数えきれないほど所有する方にこそ、ぜひご注目いただきたい逸品です。

ドレッシーな内羽根プレーントウながら、印象的な曲線美が効いてさりげない色気を醸し出す「匠 琴之介」。その魅力を、職人たちが手間暇かけて染色することで生まれる独特のマーブル模様と履き込むほどに増す光沢により、多くの革靴愛好家を魅了するバーガンディの「ラディカ」レザーがいっそう引き立てます。秋冬ならフランネルやコーデュロイ、春夏ならリネンやコットンといった、表情ある生地と相性抜群です。

こちらはネイビーの「ラディカ」レザーを採用。室内ではブラックにも見えますが、光を受けると深みのある紺が浮かび上がります。ムラ染めが施されたニュアンス豊かな色合いは、ポリッシュをかけた際の表情も極めて美麗。ライトグレーからダークネイビーまで、さまざまなトーンのスーツとマッチする懐の広さもポイントです。黒靴、茶靴に次ぐ第三の定番として揃えれば、装いの幅がグッと広がるはず。

ダークブラウンの「匠 勘三郎」も展開。深みのある茶の色合いは、スーツからジーンズまで合う汎用性を叶えています。固いリブテープを用いない三陽山長の独自製法、フレキシブルグッドイヤーウェルト製法により、履き心地もより快適にアップグレード。大人のカジュアルスタイルにふさわしく、上品さと寛ぎ感を両立した靴が欲しいという方にも理想的な一足です。

「零」シリーズは現在、3モデルを展開。ホールカットの基本形である「壱」、ストレートチップ風のダミーステッチを施した ―― つまり、こちらも実はホールカット仕様の「弐」。そして、ドレッシーな雰囲気を残しつつも、足元に遊び心を添えるタッセルローファーの「参」。
いずれも、中底のリブテープを排した「フレキシブルグッドイヤーウェルト製法」により、屈曲性に優れ、しなやかで柔らかな履き心地を実現しています。
【弐/NI】ストレートチップ
一見、ドレスシューズの大定番であるストレートチップ……のようで、よく目を凝らすと特別な仕掛けが。実はこちら、ホールカットの「壱/ICHI」をベースにストレートチップ風のステッチをあしらった一足です。つまり、トウキャップのように見える一文字も、甲周りを切り替えているように見えるデザインも、すべて一枚革の上に“描かれた”もの。ゼロシームという特別な仕立てをあえてオーソドックスなストレートチップに落とし込むという、ある種非常に贅沢な遊び心を表現したモデルです。ちなみに「零」シリーズ共通の仕様として、出し縫い糸の上に刻まれた「目付け」と呼ばれる刻み模様は一本一本、手仕事で施されたもの。通常は凸凹のあるローラーを押し当てて一気に模様をつけますが、本シリーズは細部まで手間ひまが費やされています
▼ 【零-ZERO-】ゼロシームという職人技の頂点 ▼
▼ 【零-ZERO-】ゼロシームという職人技の頂点 ▼



