その人らしさを
映し出すコートは、
私にとって特別な存在。
タレント
向井亜紀
AKI MUKAI
タレントとして幅広く活躍しながら、学びや社会活動にも意欲的に取り組む向井亜紀さん。ファッションやコートとの出会いから、未来へ向けての展望まで、常に明るく前を向き、アクティブに周囲と関わる姿勢は、その着こなしにも表れている。
- 気品が漂うコートの着こなし、とても素敵でした!
- コートは、私にとって少し緊張感のある存在なんです。この業界に入ったのは、モデルエージェントの方に声をかけてもらったことがきっかけだったのですが、その方がバキバキにおしゃれで。ファッション誌のモデルをしていたおじさまなのですが、コートを着ると特にすごいんです。レインコートもサッと羽織るだけで、どこから見ても360°かっこいい。普段は面白い方なだけに、その素敵さに息をのんで以来、ロングコートが似合う人を見かけるとテンションが上がるように(笑)。コートにはその人の佇まいそのものが表れると思います。その人の人格や骨格に合っているかどうかだけでなく、そのコートで風を切りつつ、どこへどう歩いていく人なのか、気になりますね。
- ファッションの師匠との思い出のアイテムなのですね。
- そうですね。若い頃はおしゃれな先輩方が周りにたくさんいました。「この木の床をコツコツと乾いた音で歩けるような靴を履きたい」とか、「ジャケットの袖口から見えるカフスの長さがおかしいから、シャツの肘をハサミで切ろう」とか(笑)。そういう方々を見ては、「おしゃれってこういうことなんだ」と、学んできた感じです。それを堅苦しくではなく、すごく楽しそうにやっている姿に心から憧れて。私自身もスタイリストさんにいろいろな服を着せてもらえるのが楽しくて、自分なりに納得のいくおしゃれにたどり着けるよう、いつもチャレンジしているつもりです。
- コートを着るときに、心がけていることはありますか?
- ここ2年ほどはメンズのオーバーサイズコートを着ることが多かったので、今回SANYOCOATさんと聞いたときは、少し気合いを入れなきゃと思いました。合わせるならヒールだなとか、スカート丈も重要だなとか、襟がきれいに立つデザインだからインナーは軽やかな素材のほうがバランスがいいかな、とか。ちゃんとしたコートに見合う装いをしたいなと、自分の中でいろいろ想像してきました。
- 実際に100年コートを着てみて、どんなことを感じましたか?
- 本当にラクでした! こういうトラディショナルなコートは、以前なら「かっこいいから」と、肩が凝っても無理して着ていたのですが、徐々に手が伸びなくなっていました。その点、このコートはとても軽くて、気負わずに袖を通せますね。カチッとしすぎず、体にすっとなじむ素材感。季節も選ばず、きれいめにもカジュアルにも合うし、次はデニムにスニーカーで羽織ってみたいです。これまでのコートのイメージがいい意味で覆されました。コートを選ぶときは夫と一緒に「ヘイ、タクシー!」のポーズをして、肩が浮かないかをチェックし合うんですが(笑)、手縫いで仕上げられた襟元が柔らかく首や肩に沿ってくれるので、とても快適に動けました。
- 修理しながら長く着るという文化についてどう思われますか?
- 日本では同じ服を長く着ていると「またそれ着てるの?」と見られることもありますよね。でも欧米には「冬が来ると、あの人のあのコート姿を見られるのが楽しみ」といったポジティブな空気があります。長く大切に着ることがもっと評価されるといいなと思います。この前、久しぶりに友人に会ったとき、初めて会った日に着ていた30年前のシャツをあえて着て行ったんです。「これ覚えてる? 若干きつくなっちゃってるけど」なんて笑い合って。「自分古着」というか、そういうおしゃれも面白いと思います。また着てみようかなとか、今ならこう着倒せるかなと考えるのは楽しいですし。あと、使い込んだもののかっこよさも大好きです。ある帽子デザイナーさんが「漁師さんや農家の方が長年かぶっている帽子が一番かっこいい」と話されていたのに、激しく同意します(笑)。そういった時間の経過が育む美しさを認め合うことも、きっと最高のおしゃれですよね。
- これからの自分に寄り添ってほしい、理想の生き方を教えてください。
- これまでは与えられた宿題に追われながら懸命に走る時間だったように思うのですが、60歳を過ぎる頃から意識が変わってきました。「自分にできることは何なのか」を自ら探し歩く時間にしたいという気持ちが強くなったんです。今年の目標は、改めていろいろな人に会いに行くこと。この3月に大学の児童学科を卒業したのですが、そこで得た学びを生かしたいとも思っています。これまでも20年に渡って約25,000人の子どもを集めた無料体育イベントを全国開催してきましたので、より視野を拡げて、闘病中の子どもとご家族を支える企画や、子ども食堂を拡げるお手伝い、児童養護施設へのご協力などに取り組み始めているところです。旅番組で鍛えた取材力を生かして(笑)、自分に課す宿題を自分の目と足で見つけてくることができたら、この先も面白い人生になると思います。
向井亜紀/タレント
1964年、埼玉県生まれ。日本女子大学在学中にラジオDJとしてデビューし、タレントとしてテレビ、ラジオなどで幅広く活躍。1993年から2023年までテレビ朝日系『朝だ!生です旅サラダ』にレギュラー出演し、親しみやすいリポートで人気を集めた。1994年に格闘家・髙田延彦氏と結婚。闘病など自身の経験をもとに講演活動や執筆にも力を注ぎ、著書も多数。2023年に中退していた大学の児童学科へ再入学し、2026年に卒業。子どもを支援する活動等を積極的に行っている。