夫婦で仕立てる「メイド トゥ メジャー」~メンズ・オーダー編~50代の“10年着られるスーツ”を吟味する
『PRESIDENT WOMAN』編集長・木下明子さんがオーダー
40歳代の仕事着で大切なものをすべて詰め込んだスーツ
「MADE TO MEASURE(メイド トゥ メジャー)」とは、「サイズをきちんと計測して、フィットした服をお作りします」という意味。フルオーダーのように一から作り上げていくものではありませんが、既製品として完成しているスーツを元にフィット感を高めていくので、今回登場する高木康行さんのように、「50代になってちょっとお腹がでてきた」という体型の変化の対応には最も優れたパターンオーダーになります。
Photo. Riki Kashiwabara / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN
高木康行・裕美さんのリクエストは、「式典にも普段にも着回しできるスーツ」
お子さんがこの春6年生になって、「卒業式や入学式などの式典出席にも着用できるスーツのオーダーを考えています。子どもと外に食事に行けるようになり、家族でレストランなどに出かける機会も増えてきたので、そういったシーンでも着回しできるとうれしいですね。春から夏を除いて秋、冬まで3シーズン着られる生地感が希望です」というのが、お二人のリクエスト。
高木(たかき)康行さんは、1968年生まれの大阪府出身。DJやファッションスタイリストを経て、94年よりフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。メンズファッション誌をはじめ、ファッション広告やCDジャケットなどを中心に活躍されています。
「20代のスタイリスト時代はよくスーツを着ていましたね。アットリーニのスーツを探しに静岡のテーラーまで行ったこともあります。最近はあまり着ていなくて、今はクローゼットにスーツは4着あるかな。ネクタイも50本ほどありますが、締めてないですね。手持ちのスーツはお腹まわりが少々きつくなっていて、長時間着ていられないんですよ」と笑います。
今回は、「今の体型にフィットするのはもちろん、子どもの入卒式にスーツとして着ていけて、改まった食事などにはジャケット単品でも使えるようなユーティリティなものを希望します。欲張っていえば、“50代をカッコよく着こなせるスーツ”がほしいですね」。
奥様の裕美さんは、「主人のスーツ姿はあまり見たことがないですね。服は普段から好きにアレンジを加えて着ている人なので、今回のスーツオーダーは私も楽しみにして来ました。前に、ホテルの食事券をいただいたのですが、いざ行くとなると、二人とも“なにを着て行こうかなぁ、着ていく服があるかなぁ”と悩んでしまって(笑)。そういうときにクローゼットの中にある服を作りたいです」と期待を込めます。
メイド トゥ メジャーの名ナビゲーター、鈴木健太郎店長登場
鈴木 ようこそいらっしゃいました。高木さんのご希望はお伺いしました。具体的にどんなスーツをご希望ですか。
高木康行(以下、康行) 仕事がカメラマンなので、ネイビースーツではなく、個性的なものでもいいんですが、セレモニーなどにも着ていける程度のカッチリ感はほしいですね。デザインはベーシックだけど、ネクタイや小物などで遊ぶ着こなしが好きです。
高木裕美(以下、裕美) 主人は帽子とメガネも好きで、子どもの授業参観でも目立って、「真っ黒なお父さんが来たよ」とザワつかれることもありました(笑)。
鈴木 今回は、単品のジャケットとしても使えるものがご希望ですね。
康行 結婚式の出席などもまわりは自由業が多いので、蝶タイでジーンズにジャケットを羽織るというコーディネートで行っています。
鈴木 了解しました。では、ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーでご用意している3型をご説明します。
鈴木 ご用意している3型は、ポール・スチュアートで最もベーシックな直営店モデル「EDWARD(エドワード)」、全体的にシャープに見える細身のシルエットのモデル「YORK(ヨーク)」、そして日本におけるディレクターの鴨志田康人が監修したモデル「BAKER(ベイカー)」です。
康行 それぞれどう違うんですか?
鈴木 はい、「EDWARD」は英国のクラシックスタイルに現代的なフォルムを掛け合わせたイングリッシュドレープの効いたモデルで、パンツはワンプリーツ仕様です。「YORK」は「EDWARD」に比べるとハーフサイズほど細身のすっきりしたシルエットが特徴で、肩が丸く、ジャケットの着丈がやや短く、パンツはノープリーツです。「BAKER」は現代的な“クラシカルモダンアメリカン”デザインで、ジャケットのラペル幅が広く、段返り3つボタン、パンツはツープリーツで、膝から下がテーパードになっています。
裕美 パッと見ただけではすぐ違いが分からなくて、男性のスーツの世界は奥深いんですね。
康行 だから好きが高じてハマっちゃうと、大変なんですよ(笑)。今回はぜひ、鴨志田さんディレクションのスーツを着たいですね。
鈴木 分かりました。ラペル幅や全体のシルエットがインターナショナルなモデルなので、高木さんのお仕事的にもお似合いになると思います。あと、ポール・スチュアートのメイド トゥ メジャーは採寸の補正箇所が55ヵ所(※直営店限定のスペシャルオーダーに限る)ありますので、フルオーダーに近い体型に沿った補正ができます。
康行 補正箇所はそんなにあるんですか。すべて鈴木さんにお任せします!
康行さんのリクエストに合わせて店長がセレクトしたのが、「着回しができる」「ベーシックだけれど遊び心がある」「5~9月以外の3シーズン着用できる」生地です。クルマの運転もされるので、シワになりづらく、タフに着られて軽いErmenegildo
Zegna(エルメネジルド ゼニア)の「TRAVELLER(トラベラー)」も候補に上がります。
康行 せっかくオーダーで作るので、既製にはない生地を選びたいですね。
鈴木 そこがオーダーの魅力ですね。ネイビーベースではっきりしたストライプが入っている生地は、白シャツ・ノータイやタートルなどで食事にも出かけられます。無地ですがブルーグレーのような色の明るくきれいな生地は、顔写りが良くなります。セレモニーにも明るい色は適していますよ。
康行 おしゃれできれいな色が多いですね。ジャケットとしても着たいから、ややざっくりとした生地感がいいですね。「TRAVELLER」だとビジネスマンっぽいかな?
裕美 こういうオーダーにかかる時間ってどれぐらいなんですか?
鈴木 お客さまのリクエストにもよりますが、だいたい1時間から1時間半ぐらいでしょうか。
康行 男はそういう時間が至福なんですよ。生地選びは楽しいけど、種類が多いから目移りしてしまって難しいなぁ。
鈴木 高木さんはどんな色の靴が多いのでしょうか?
康行 今持っている革靴は黒ですね。そうか、「黒に合う生地」がいいですね。
裕美 こういう生地選びって、普段着ない色や柄は選びにくいんでしょうね。
康行 男って、「いつも同じようなものを買ってしまうんだけど、同じようなものが着てしっくりくる」生き物なんです。
鈴木 確かに。それでも心の中では冒険はしているんですよね。
康行 店長のおっしゃるとおりです。この太いストライプ、かなりカッコイイね。
鈴木 Ermenegildo Zegnaの「ELECTA(エレクタ)」という生地で、きれいなツヤとしなやかなドレープ感がありながら耐久性の高い高級素材です。目付は380グラムとややヘビーですが、小物で遊べる色と柄ですね。
康行 これならジャケットにジーンズでも着られますね。
鈴木 お選びいただいたモデル「BAKER」は肩が柔らかい造りのモデルなので、その雰囲気と合う生地ですね。
裕美 イメージが湧きますね。冠婚葬祭の葬以外なら着られるし、いいと思います。
康行 そうね。ではこの生地にします。
鈴木 それではサイズ「46のL体」を着ていただいて補正に入ります。
康行 フィッティングルームのお立ち台に立つだけで気分が良いですね。ジャケットのラペルが広めでカッコイイです。
鈴木 このスーツに高木さんの体型が合っていますね。補正は55ヵ所できますが、元のカタチを活かすにはできるだけ補正箇所が少ない方がいいので、良いモデルを選ばれました。
康行 着丈がちょうどいいですね。イタリアのインポートものだともうちょっと長いですよね。
鈴木 袖の左右の長さを揃えて、横から見るとやや後ろに反っているので前後のバランスを整え、襟が抜けそうなのでシャツの襟に吸い付くように詰めます。全体的に「細くなる」ように補正をしていきます。
康行 スタイリスト時代に鴨志田さんにお世話になっていて、スーツのこと教えてもらっていたので、この歳になって鴨志田さんがディレクションしているスーツを着られるのは感無量です。ポール・スチュアートのクラシックでシックな感じに、鴨志田さんのコンテンポラリーでエレガントな雰囲気がうまく融合しているなと着てみて思いますね。
鈴木 鴨志田さんの作る服の男の色気が感じられますね。
康行 こういうスーツを着ると、「スーツはモデルチェンジではなく、アップデート」だというのがすごくわかります。
鈴木 組下パンツは、出来上がりはインタックになります。わたりをやや絞って、裾はポール・スチュアートの基本のダブル4.5cmに。重さがついてシルエットがきれいに見えます。
康行 裾はやや短めにお願いします。
鈴木 では、仕上げにかかりましょう。ボタンは素材別や光沢のありなしからお選びいただけますが、料金は変わりません。ボタンの色が明るくなるとカジュアルに、濃くなるとドレッシーに見えます。
康行 なるほど、ドレッシーがいいですね。水牛の天然ボタンにしようかな。
裕美 私にはさっぱり分かりません(笑)。
鈴木 メガネやアクセサリーなどに合うツヤっとしているボタンが品も出ますね。裏地はお好みがありますか。綾の織りが入ったものと無地からお選びいただけます。
康行 これだけ種類があると本当に好みですね。
鈴木 ゼニアの生地のストライプの色が薄紫なので、同色系の裏地が無難ですが、せっかくオーダーなので、青紫はいかがでしょう。裏地は見せるところではありませんが、袖を通すときに自分だけ見ることができるので、テンションが上がる色がお薦めです。
康行 青紫、クールでいいですね。
裕美 カッコイイと思います。
康行 裏地は保形性を考えて総裏にしてください。コバステッチを付けて、袖口の切羽を開けて、袖のボタンはオーダーの証しの重ね付けでお願いします。
鈴木 分かりました。パンツにサスペンダーボタンはどうしますか?
康行 サスペンダーは持っているので付けてください。あと、採寸からずっと考えていたんですが、ジャケットを「パッチポケット」にしてください。今、決めました。
鈴木 ネーム入れはどうされますか。お客さまの中には、いつ仕立てたかを覚えておくために日付を入れる方も多いです。高木さんなら「YT2020」はいかがでしょう。
康行 それは面白いね。そうしてください。
好みをカスタマイズできる「メイド トゥ メジャー」は出来上がりが明確
裕美 スーツのオーダーの場面に初めて立ち会っていますが、夢みたいですね。ポケットの位置や細かいデザインとか考えたこともなかったですが、やりとりがとても楽しそうでした。
康行 普段の買い物って、値段だけで決めたり、必要だから買ったりしていますが、こういう機会は自分を見つめ直せますね。特に長いスパンで良いモノを買いたいときは、単純に価格だけではないのがよくわかります。
鈴木 そういう意味でもメイド トゥ メジャーはもっとご利用いただきたいです。
康行 フルオーダーだと、原型がなくて、一から作っていくのは素人には大変ですが、メイド トゥ メジャーは好みをカスタマイズできるので、イメージが徐々に湧いて、出来上がりが明確なのがうれしい。
鈴木 今回作った一着目が「高木さんの型紙」になって、次に作るときに気になる部分を修正していくと、ビスポークと同じ仕上がりになります。
康行 なるほど。家を建てるときも全部注文だととんでもない仕上がりになるけど、パターンオーダーからアップデートしていくと、良いモノができるということですね。出来上がりが楽しみです。
Information
ポール・スチュアート「メイド トゥ メジャー」キャンペーン開催!
2020年2月15日(土)より、ポール・スチュアート全店舗で「メイド トゥ メジャー」キャンペーンが開催されます。キャンペーン期間中は、既製スーツやジャケットと同じ価格でオーダー服を注文することができます(一部除外あり。直営店のスペシャルオーダーは既製スーツの上代から¥15,000-のアップチャージあり)。ぜひお近くのポール・スチュアートの店舗へ足を運んでみてくださいね。
開催期間/2019年2月15日(土)~3月31日(火)
対象店舗/全国のポール・スチュアート店舗
※GINZA TIMELESS 8店 は、3月1日(日)~3月31日(火)
GINZA TIMELESS 8(ギンザ・タイムレス・エイト)
東京都中央区銀座8-8-9 8F
Tel.03-5537-6125(代表)
営業時間11:00~20:00
不定休
https://www.ginzatimeless8.com