TOP > 三陽山長 > FEATURE > 【革靴偏愛エディター新店探訪「三陽山長 粋 グラングリーン大阪店」】店内に“御神木”。こんなショップ見たことない!

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革靴偏愛エディター新店探訪
「三陽山長 粋 グラングリーン大阪店」

店内に“御神木”。
こんなショップ見たことない!

2025年3月21日に開業した大阪駅前の新ランドマーク「グラングリーン大阪」。その南館2階に、関西では初となる三陽山長の直営店舗「三陽山長 粋 グラングリーン大阪店」がオープンしました。ニッポン靴の最高峰を追求し、より贅沢に、より美しく進化を続ける三陽山長。その最新ヴィジョンを投影した空間です。

そんな注目スポットを、365日革靴を愛用するエディター・小曽根広光がレポート。他に類を見ない仕立てが満載された作り込みに、思わず「すごい!」を連発してしまいました。さて、その全容とは?

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取材・文

取材・文

編集者 小曽根 広光

編集者 小曽根 広光

1984年生まれ。雑誌「Men's Ex」副編集長を経て2018年よりフリーに。現在はメンズファッション各誌に携わりつつ、靴雑誌「LAST」の編集部員も務める。

“ここで買ってよかった”と思わせてくれる空間

“ここで買ってよかった”と
思わせてくれる空間

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編集者としてクラシック・クロージングに関わって約20年。これまで名品・珍品・レア物・マスターピースなどと称される品々を頑張って入手してきました。そんな経験のなかで感じたのは、“何を買うか”と同じくらい、“どこで買うか”が重要だということ。たとえば若い頃に恐る恐る敷居をまたいだ海外の名店で、カタコトの外国語を一生懸命話しながら買い求めた一品は、何の変哲もないものなのに決して手放すことができません。心から愛用できるものの価値って、実は目に見えないところにこそあるんだなぁと改めて実感しています。

なぜこんなことを冒頭申し上げたかというと、今回訪れた「三陽山長 粋 グラングリーン大阪店」もまた、特別な価値を生む場所だと感じたから。“日本の粋”をテーマにしたという内装は、贅沢でいてどこか心安らぐような空間。まるで名門旅館を訪れたかのような心地よさで満たされています。

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上質感あふれるフィッティングスペースは、さながら名宿のサロン。定番から最新作まで、三陽山長のフルラインナップが並ぶ陳列棚は、まるでギャラリーのような佇まいです。最上段の中央には、和風な鉢植えが飾られているのも印象的。こうした細かい演出も、贅沢な安らぎ感に貢献しているのでしょう。

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そして目を奪われるのが、店内中央に鎮座する巨木のテーブル。天板は継ぎ目のない一枚木で、横から見ると大迫力の断面に圧倒されます。なんとこちら、山形県鶴岡市を護る金峯神社から譲り受けた“御神木”で作られたものなんだそう。ちなみにこのテーブルのために木を伐採したわけではなく、複数生い茂る御神木全体のメンテナンスを行うために切ったものを活用したのだそう。神様も微笑みかけてくれる、そんな代物です。

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そんな御神木テーブルの上には、またしても目を惹く仕掛けが。なんとも不思議な形状の台座に靴を乗せて陳列しているのです。材質は木で、端の部分は非常に薄く削られています。表面はヤスリで丹念に磨き込まれ、手触りは驚くほどなめらか。日本の木工技術がいかんなく発揮されています。実はこちら、グラングリーン大阪店のためだけに誂えた特注品。御神木のテーブルから連想し、供物を載せる台をイメージして製作したものです。ちなみに、この台座に乗せられた靴は限定品や新作などの特別なアイテム。「限定品」などの文字で宣伝しなくても、自然にお客様の目が向く仕掛けになっています。

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さらにユニークなのが、店内の随所に“靴の革”が用いられていること。レジカウンターや什器の天面や側面に、三陽山長のアッパーに使うカーフが贅沢に貼られているのです。家具用の革と比べると、やはり繊細さが段違い。思わずうっとりとしてしまいました。そして面白いことに、インテリアに使用されているカーフは今後、スタッフが定期的に“磨いて”いくのだそう。それにより、靴と同様の経年変化を遂げていくのです。革を使ったインテリアは数あれど、それを磨いて育てるなんて聞いたことがありません。5年後、10年後が楽しみです!

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外壁の黒い部分は、鉄が錆びたような質感に仕上げることで“侘び寂び”を表現。シャープでありながら味わい深い表情を称えています。

シンプルでクリーン、それでいて、あらゆる細部にアイデアと気配りが満載。それは三陽山長の靴作りにもぴったりと符合する美意識です。やっぱり日本っていいよなぁとしみじみ感じながら、ニッポン職人が丹精込めて作った靴を選ぶ。そうして手に入れた一足は、きっと愛着もひとしおだろうと思います。“ここで買ってよかった”と心から思える場所になるだろう。そう予感させるショップでした。

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ちなみに三陽山長に加えて「SANYOCOAT」のコレクションも展開。こちらもニッポンメイドで、国内随一のクオリティと評価の高い自社工場で作られています。靴と同様、長く愛用できるアイテムばかり。

オープンを記念した限定モデルも魅力的

オープンを記念した
限定モデルも魅力的

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前述した御神木テーブルに陳列されていたのは、グラングリーン大阪店オープンを記念して製作された同店限定モデル。三陽山長の頂上シリーズ「零」の筆頭モデルである、パーフェクト・ホールカット「壱」をベースにした特別仕様です。ポイントは、芸術的なまでに美しいアッパーの色。実はこちら、二人の“チャンピオン”が共演して実現したものです。

まず、この魅惑的な色付けを行ったのは、靴磨き選手権大会2019 カラーリング部門で優勝に輝いたシューカラリスト・斗谷 諒さん。何種類ものクリームを使い分け、丹念な手仕事を駆使したその仕事ぶりは、さながら靴をキャンバスにしたアートです。左の写真は「深緋/KOKIAKE」と名づけられた黒と紫が混ざった暗めの赤。独特の艶やかさを演出しつつ、グラデーションで黒を入れていくことでシックに仕上げているのが絶妙です。

そんな斗谷さんのカラーリングをいっそう引き立てているのが、寺島直希さんによるシューシャイン。靴磨きファンにはいわずと知れた「HARK KYOTO」の代表で、靴磨き選手権大会2019 シューシャイン部門でチャンピオンの座を獲得しました。そんなスター職人が磨きを行うことで、宝石のような輝きを放つ一足に。彩色の透明感もさらに際立っています。

こちらは「鶸萌黄/HIWAMOEGI」と名づけた深いグリーン。光の当たり方によって色みや光沢が複雑に変化し、いつまでも見ていられます。

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こちらは「檜皮/HIWADA」と銘打たれた一足。文字通り、こちらはヒノキの樹皮を連想させる深いブラウンカラー。自然の色を表現できるのも手仕事によるカラーリングの妙味です。

ちなみに、「零」シリーズの靴はアッパーに継ぎ目が一切ない“ゼロシーム”仕立てが特徴。そのため彩色や磨きが歪んだり途切れたりすることなく、その美しさが最大限に発揮されるのです。

グラングリーン大阪店限定の「壱」スペシャルエディションは4色展開。こちらは「藤煤竹/FUJISUSUTAKE」という名で、ネイビー・グレー・ブラックを混ぜたような色み。ホールカットのデザインともあいまって、フォーマルなシーンでも活躍しそうです。

ところで当スペシャルエディションの4色はいずれも、日本に古くから息づく伝統色をイメージしたもの。ふたりの日本人チャンピオンが描き出す、日本の色彩美。なんとも三陽山長らしい表現です。

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デザインから起こしたオープン記念モデルも

オープンを記念した
限定モデルも魅力的

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グラングリーン大阪店オープンを記念して、新たにデザインされたモデルも登場。「狩伍郎」と名づけられたこちらは、ボリュームのあるラウンドトウ木型の「R2021」を採用。カジュアルシューズの定番デザインであるUチップですが、実はモカ縫い部分は切り替えでなく、つまみ縫いでU字を描いています。継ぎが少ないぶん、より贅沢な仕立てというわけです。

こちらはアッパーに英国の老舗タンナー・J.ベイカー社が手がける「ヴォリンカ」レザーを採用。伝説のロシアンカーフを忠実に再現したといわれる折り紙つきの革で、ヴィンテージ調の存在感が印象的です。

こちらはフランス・デギャーマン社の「サポートロ」レザーで仕立てた「狩伍郎」。ワックスやロウをたっぷりと含ませた堅牢さが特徴で、履き込むと重厚な艶が生まれてきます。水気にも強いため、雨の日に安心して履けるのも魅力。

「狩伍郎」はストームウェルトにダブルソール、出し縫いがヒールを一蹴するダブルウェルトによる、どっしりとした底周りも特徴的。ヴォリンカ版がオリジナルレザーソールを採用しているのに対し、こちらは英国・ハルボロラバー社のリッジウェイソールを採用。耐摩耗性、グリップ性に優れ、悪路にも負けない耐久性を持ち合わせています。

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オープンを記念した限定モデルも魅力的

オープンを記念した
限定モデルも魅力的

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前述した御神木テーブルに陳列されていたのは、グラングリーン大阪店オープンを記念して製作された同店限定モデル。三陽山長の頂上シリーズ「零」の筆頭モデルである、パーフェクト・ホールカット「壱」をベースにした特別仕様です。ポイントは、芸術的なまでに美しいアッパーの色。実はこちら、二人の“チャンピオン”が共演して実現したものです。

まず、この魅惑的な色付けを行ったのは、靴磨き選手権大会2019 カラーリング部門で優勝に輝いたシューカラリスト・斗谷 諒さん。何種類ものクリームを使い分け、丹念な手仕事を駆使したその仕事ぶりは、さながら靴をキャンバスにしたアートです。こちらは「深緋/KOKIAKE」と名づけられた黒と紫が混ざった暗めの赤。独特の艶やかさを演出しつつ、グラデーションで黒を入れていくことでシックに仕上げているのが絶妙です。

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そんな斗谷さんのカラーリングをいっそう引き立てているのが、寺島直希さんによるシューシャイン。靴磨きファンにはいわずと知れた「HARK KYOTO」の代表で、靴磨き選手権大会2019 シューシャイン部門でチャンピオンの座を獲得しました。そんなスター職人が磨きを行うことで、宝石のような輝きを放つ一足に。彩色の透明感もさらに際立っています。

こちらは「鶸萌黄/HIWAMOEGI」と名づけた深いグリーン。光の当たり方によって色みや光沢が複雑に変化し、いつまでも見ていられます。

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こちらは「檜皮/HIWADA」と銘打たれた一足。文字通り、こちらはヒノキの樹皮を連想させる深いブラウンカラー。自然の色を表現できるのも手仕事によるカラーリングの妙味です。

ちなみに、「零」シリーズの靴はアッパーに継ぎ目が一切ない“ゼロシーム”仕立てが特徴。そのため彩色や磨きが歪んだり途切れたりすることなく、その美しさが最大限に発揮されるのです。

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グラングリーン大阪店限定の「壱」スペシャルエディションは4色展開。こちらは「藤煤竹/FUJISUSUTAKE」という名で、ネイビー・グレー・ブラックを混ぜたような色み。ホールカットのデザインともあいまって、フォーマルなシーンでも活躍しそうです。

ところで当スペシャルエディションの4色はいずれも、日本に古くから息づく伝統色をイメージしたもの。ふたりの日本人チャンピオンが描き出す、日本の色彩美。なんとも三陽山長らしい表現です。

デザインから起こしたオープン記念モデルも

デザインから起こした
オープン記念モデルも

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グラングリーン大阪店オープンを記念して、新たにデザインされたモデルも登場。「狩伍郎」と名づけられたこちらは、ボリュームのあるラウンドトウ木型の「R2021」を採用。カジュアルシューズの定番デザインであるUチップですが、実はモカ縫い部分は切り替えでなく、つまみ縫いでU字を描いています。継ぎが少ないぶん、より贅沢な仕立てというわけです。

こちらはアッパーに英国の老舗タンナー・J.ベイカー社が手がける「ヴォリンカ」レザーを採用。伝説のロシアンカーフを忠実に再現したといわれる折り紙つきの革で、ヴィンテージ調の存在感が印象的です。

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こちらはフランス・デギャーマン社の「サポートロ」レザーで仕立てた「狩伍郎」。ワックスやロウをたっぷりと含ませた堅牢さが特徴で、履き込むと重厚な艶が生まれてきます。水気にも強いため、雨の日に安心して履けるのも魅力。

「狩伍郎」はストームウェルトにダブルソール、出し縫いがヒールを一蹴するダブルウェルトによる、どっしりとした底周りも特徴的。ヴォリンカ版がオリジナルレザーソールを採用しているのに対し、こちらは英国・ハルボロラバー社のリッジウェイソールを採用。耐摩耗性、グリップ性に優れ、悪路にも負けない耐久性を持ち合わせています。

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