愛靴を長く履くための
シューケア基本の"き"
せっかくの上質な靴も、ケアを怠っては宝の持ち腐れ。お気に入りの靴を美しく、長く履き続けるために、日々のメインテナンスは重要です。そこで今回は、新たに誕生した三陽山長オリジナルのクリーム&ワックスを用いたシューケアの基本を、同ブランドの企画・猿渡伸平が指南します。
猿渡伸平/Shimpei Endo
1989年三陽商会入社。コーポレートビジネス部三陽山長企画課長。2001年スタートの三陽山長に立ち上げから携わって以来、同ブランドひと筋。数ある趣味のなかでも特に愛してやまないのがサーフィン。
革にいい”ことに重きを置いた、三陽山長のクリーム&ワックス
創業100年を超える国内の老舗シューケアメーカー・谷口化学工業所との共同開発による、三陽山長初となるオリジナルの「プレミアムクリーム」(写真右)と「プレミアムワックス」(写真左)が完成。「インポートものをはじめ、“革を光らせること”に重点を置いたクリームやワックスは多くありましたが、オリジナルで作るのであれば、お気に入りの靴を長く履いていただくために、“革にいい”ものを作りたいと思ったんです。クリームにはヒアルロン酸、ワックスにはシアバターを配合し、有機溶剤の使用を最小限に抑え、色の調合も顔料ではなく染料を使って革へのダメージを軽減するなど、革のことを第一に考えて作りました」と猿渡氏。使い切りやすいサイズ感にこだわり、クリームは3度に分けて注ぎ足して表面を均一に保つなど、熟練した職人が昔ながらの製法で製造した逸品。クリームのカラーはブラック、ブラウン、コーヒー、ニュートラル(無色)の4色展開です。
Step.1
柔らかな馬毛ブラシでホコリや汚れを取る
シューキーパーを入れた状態で、革にダメージを与えないよう柔らかな馬毛のブラシで軽くブラッシングし、付着したホコリや汚れを除去。特にコバ部分などにはホコリが溜まりやすいので入念に。何度か履いた靴に関しては、シューレースをはずして行うのがベター。
Step.2
靴の色に合わせたクリームを全体に延ばす
全体の汚れを落としたら、ペネトレイトブラシで靴の色に合わせたクリームを少量ずつ取り、全体に薄く延ばします。同色のクリームでもトゥから内側、ヒール、そして外側というように、順を追って行っていけば塗り忘れる心配はありません。シューレースが接する部分は色が抜けやすいので、特に入念に。
Step.3
硬めの豚毛ブラシでクリームをさらに延ばす
クリームを塗り終えたら、今度は硬めの豚毛ブラシでブラッシングし、クリームをさらに延ばします。ヒアルロン酸が配合されたクリームゆえ、ワックスを入れる前のこの段階でも光沢が出てくるはず。ちなみに、片方の靴を終えたらすぐワックスの工程に移るのではなく、もう片方の靴も同様にブラッシングを。少し時間をとって寝かせてあげたほうが、クリームが浸透しやすいのです。
Step.4
少量の水を垂らしながらワックスをウエスでなじませる
ウエス(布)をしっかり指に巻きつけ、水を一滴垂らしながらワックスを薄く全体に延ばしていく。これはいわゆる、革の表面の凹凸を埋めていく作業。表面が平らになることで光の反射を生むのです。ある程度、ワックスを乾かしながら磨いてあげたほうが光りやすいので、左右の靴を交互に行うのがベター。指先の摩擦がなくなり、曇っていたワックスがクリアになってきたら鏡面は近い。
Step.5
ミトンで靴全体をきれいに磨き上げる
ワックスを塗り終えたらシューレースを通し、ミトンで靴全体を磨き上げていく。最後のこの工程により、革にさらなる艶が生まれるのです。
Finish
ビジネスの定番である黒ストレートチップに貫禄の艶が!
磨き終えた靴がこちら。美しい自然な光沢が、靴全体から発せられているのは一目瞭然です。猿渡いわく、「靴に使われている革も、僕ら人間の肌と同じ。当然、化粧をしたら落とすでしょうし、落としたままでは乾燥してしまうので油分を与える必要がある。靴を磨く作業もそれと一緒。自分の肌と同じような感覚でメインテナンスを心がけ、また、一度履いたら乾かすなど、日々のちょっとしたひと手間で、靴は長く履けるようになるんです」とのこと。