

今期もやって参りました! 昨年、革靴ビギナーが一年を通して革靴の知識を深めた当連載。ようやくスタートラインに立ったところで、まだまだ深掘りしたい気持ちが抑えられず、今期も連載を実施させていただきます!
突然ですが、三陽山長には各店舗限定モデルがあることをご存知ですか? オンラインストアでは販売されていない秘蔵っ子があるということで、この一年を通して全店行脚し、店舗限定モデルをチェック! 新たにスタイリストの高塩さんを迎え、その店舗限定のスタイリングもしてもらうという新企画です。
と、その前に。今回は発売されたばかりの新作をピックアップ。革靴好きのためのスニーカーと、ブランドの頂上ライン「零」シリーズです。公式YouTubeでもお馴染みの濱田さんと上村さん、そして、三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店の大野店長に魅力を伺い、三陽山長渾身の傑作を高塩さんのスタイリングスナップとともにご紹介します!

ライター
細谷 駿人
埼玉県生まれ。メンズファッション雑誌で編集として勤務し、2018年に独立。ファッションメディアを中心に時計や美容の編集/ライターも務め、カタログや広告のディレクションも手がける。ごりっごりのゆとり世代のお調子者(笑)。

三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店 店長
上村 哲平
高身長のすらっとしたスタイルに爽やかな笑顔が特徴の店長。ファッション好きがこうじて三陽山長に入社し、その後革靴の沼にハマってその暦なんと16年。休日問わずに革靴を履き続けるほどにどっぷり浸かり、今では革靴を履かない日の方が違和感を感じるとか。

スタイリスト
五十嵐 堂寿
長野県生まれ。2011年に独立し、雑誌やカタログなど多くのファッションメディアの他、アーティストや俳優のスタイリングも多数手がける。若者から大人、ドレススーツからストリートまで、年齢層もジャンルも幅広いマルチなスタイリスト。

「革靴のような上品なスニーカーならなんでも合うし、他のスニーカーよりも上品に見える。革ジャンに白パンの無骨さと爽やかさを兼ねた着こなしに、漆黒がいい橋渡し役になってくれます」(高塩)
大人の上品パンツの鉄板である白パンは、年輪を重ねるほどにサマになる。そこに合わせる足元に、革靴然としたスニーカーがこの上なくマッチ。
「漆黒」は履き込み、手入れをするほどに艶が増してくる黒ヌメ革を採用。革の中底を採用し、サイドマッケイ製法で仕立てられているため、オールソール交換も可能です。ライニングにはソフトなホースレザーを使用し、足当たりが良く耐久性も抜群。10年、20年と愛用できる、革靴好きのためのスニーカーです。



三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店 店長
大野 喜徳
勤続21年の大ベテラン。日本橋髙島屋S.C.店では9年目となり、優しい朗らかな笑顔と落ち着いた声が特徴の癒やし系店長です。高身長でスタイル抜群のイケオジですが、そのスタイル維持の秘訣はランニングだとか。週2〜3日で1日5kmを走るそう。

細谷 初めて見た時からこのスニーカーの完成度の高さに驚きました。
高塩 革靴が好きな人ってスニーカーが嫌いなんじゃなくて、欲しいツボを突いてくる物が少ないんだと思う。「漆黒」は確実に物欲を刺激するよ。
細谷 休日のカジュアルはもちろん、ビジネススタイルにも幅が出ますよね。
大野 そうですね。ベーシックなモデルなので、スーツにも合わせられます。
高塩 最近はシャカシャカ系やジャージーな楽ちんセットアップも人気ですからね。いわゆる化繊系のセットアップに革靴だと、どうしても革靴の主張が強すぎて合わないんですよ。それもこれさえあればクリアです。
細谷 大野さんに着てもらったようなカジュアルスタイルもバッチリですし。
大野 普段はこういう格好をしないので新鮮です。革ジャンと聞いてワイルドな感じになるのかなと思いましたけど、キレイめな感じにまとまっているので背筋が伸びる感覚です。
高塩 そうですね。やっぱり年齢を重ねるほどに白パンが似合ってくるし、大野さんは背も高くスリムな体型なので、こうしたシュッとした着こなしがハマると思いました。デニムもクリース入りなので、きちんと感もあるし。
細谷 普段はどんな格好をすることが多いんですか?
大野 もっとラフな感じですね。アメカジ系のブルゾンをよく着ています。
高塩 そういう男らしい着こなしとも「漆黒」は相性がいいですね。スニーカーの革の質感と光沢感が高級な感じに見せてくれるから、大人っぽく見えると思います。
大野 今までも三陽山長ではいくつかスニーカーをリリースしてきましたが、ここまでこだわり抜いたモデルは初めてですね。
高塩 三陽山長でっていうより、他のブランドと比べてもあんまりないと思います。革靴と同じ製法ってことは、サイズ選びも革靴と同様なんですか?
大野 そうなんです。なので、スニーカー感覚で選ぶと足を傷めてしまうかもしれません。履き込むほどに馴染んで伸びてくるので。
細谷 もう革靴じゃん(笑)。
高塩 しっかり磨いてケアすればずっと使えて、艶が増してくるってすごいよね。
細谷 スニーカーって履き込む前にダメになっちゃいますからね。コスパ考えたらこれが一番ですね。
大野 ありがとうございます。
高塩 鏡面磨きもできたりするんですか?
大野 できますよ。ちなみに、三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店では、今年から京都の靴磨き店「HARK KYOTO」と協業しております。素晴らしいレザーメンテナンスサービスを受けることができますので、ぜひご利用ください。
細谷 急に告知きた!(笑)
大野 いいパスをいただいたのでここかなと(笑)。



京都で大人気の靴磨き店「HARK KYOTO」。職人が磨きからリペア、カラー剤の塗り込みなど、お客様のご要望に合わせて対応してくれます。靴以外のバッグや財布などの革製品も扱ってくれるので、お気軽に。職人が常駐するスケジュールは三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店の「SHOP BLOG」より月初に告知されます。

「春夏を先取る爽やかコーデ。ボーダーカットソーをはじめネイビーで統一感を出しつつ、スニーカーの白さが際立つように見せています。しっとりした革の質感が高級感を出してくれるので、上品見えはバッチリです」(高塩)
履き込み手入れを加えるほどに革の柔らかさが増し、白の色合いもニュアンスがつき味わい深くなっていきます。
色を抜くことで白色を表現した「純白」。姫路の老舗タンナーによる「白革なめし」を採用し、マットで独特の風合いが特徴。古くから受け継がれる伝統技法による白とあって、色割れを起こすことなく馴染み良くなっていくのも見どころ。コンパクトなラストになっているので、日本人の足型にフィットします。



三陽山長 企画担当
上村 哲平
当連載でもお馴染みのイケメン店長。と思いきや、今年から本社勤務に! 靴の企画をはじめ公式YouTubeにも出演し、さらに日によっては店頭にも立っているそう。ファンの皆さま、会いに行くなら三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店へ!

細谷 大野さんには「漆黒」を着用していただいたので、上村さんには「純白」を着用していただきました。
上村 マリンスタイルは私服でも着たりしますが、トレンチコートを合わせると一気に上品に見えますね。
高塩 他の白スニーカーと違ってまさに「純白」なので、コーディネートをワントーンにしたことでより映えて見えますよね。
細谷 高級感がありますよね。質感の違いが特に。
高塩 全然素材感は違うのに、スエードの上品さみたいなものをこの靴には感じる。
細谷 じゃあスエード靴を合わせていたスタイルにこれを履いてもマッチすると?
高塩 そうだね。雰囲気ガラッと変わるよね。白スニーカーって春夏っぽいイメージがあるけど、この質感がそうさせないっていうか。一年中履ける一足に仕上がっている。
上村 ずっと履けるし汎用性も高いなと感じます。履き心地も慣れているのもありますが、ノンストレスです。
細谷 これが20年続くんでしょ。しかも経年変化しながら。
高塩 履き込んで手入れも続けたらどうなっていくんですか? 「漆黒」とは違う革を使っているんですよね。
上村 そうです。色を抜くことで白を表現しているので、経年変化で柔らかくなるとともにマイルドな白になっていきます。生成りとまではいきませんが。
高塩 それは楽しみですね。
細谷 普段は、キレイ系というより無骨なカジュアルスタイルが多いんですよね?
上村 そうですね。古着が好きですね。
高塩 それはちょっと意外かも。あ、でも「純白」なら古着も合いますね。Gジャンとかデニムの足元とか。
細谷 経年変化した「純白」ならなおさら! お洒落が楽しくなるスニーカーなんですね。

「カジュアルで履くには装いをかなり選ぶけど、スーツなら逆にどんなスーツもクラス感をアップしてくれる。それだけのエレガンスと色気を備えているから、小細工は無用だと思います」(高塩)
「零」シリーズのアッパーに採用された、きめ細かな質感と自然な艶、ソフトな手触りが特徴のフランス・アース社が手掛けるボックスカーフ「アニキス」は、シームレス構造によっていっそう目を引くエレガンスを演出。靴一足で装いをワンランク上に格上げできる好例です。
一切継ぎ目のない「ゼロシーム」で仕立てた「零」シリーズのシグネチャーモデル・ホールカット「壱」。継ぎ目なしに立体的なフォルムを形成するのは非常に困難。それを完成させた、ブランドの矜持が詰まった一足です。素材選びにも妥協がなく、アッパーはフランス・アース社の最高級ボックスカーフ「アニキス」、ソールは英国・J.ベイカー社製オークバークレザー、そしてライニングには革好きお馴染みのデュプイ社製レザーを採用しています。外見はもちろん、中身も含めても、まったく隙のない仕上がりです。ちなみに「零」シリーズには専用のシューキーパーが標準装備されています。



三陽山長 企画兼営業担当
濱田 甫
三陽山長といえばこの人! な名物靴アディクト。上級ライン「匠」「極」の開発をはじめ、新作スニーカー「漆黒」「純白」や頂上ライン「零」の企画など、数々の名作を生み出しているブランドのキーパーソン。隙あらば靴の手入れをしており、連載スタッフの靴も空き時間で手入れしてくれる紳士です。

細谷 以前、「匠」や「極」シリーズでシームレスシューズは見たことがありますが、これはまた一線を画しますね。
高塩 これどうなってるんですか?
濱田 すごく簡単にいうと、木型に合わせて吊り込んだ後にくり抜くだけっていうものです。
高塩 言葉にすると簡単に聞こえますけど、めちゃくちゃ難しいことじゃないですか?
濱田 そうですね。今回履いているホールカット「壱」が一番わかりやすいモデルで、ストレートチップ「弐」になると、アッパーの上からデザインを入れているって感覚です。
細谷 職人泣かせですね(笑)。
高塩 でも、この良さって本物の靴好きじゃないとわからない世界ですよね。
高塩 それもあってなのか、たたずまいがすごくエレガントというかセクシーだよね。
細谷 ドレススタイルが映えますよね。
高塩 逆にカジュアルにするには贅沢すぎる(笑)。ローファーならありだけど。
濱田 このホールカット「壱」とブランドの顔であるストレートチップ「弐」、そしてタッセルローファー「参」の3足がファーストコレクションです。
高塩 いやあ、これはすごいわ。
細谷 言い方悪いけど、変態的だよね。いい意味で(笑)。
高塩 本当に言い方悪いな(笑)。でもそれくらいのこだわりを感じますね。

ライター
細谷 駿人
埼玉県生まれ。メンズファッション雑誌で編集として勤務し、2018年に独立。ファッションメディアを中心に時計や美容の編集/ライターも務め、カタログや広告のディレクションも手がける。ごりっごりのゆとり世代のお調子者(笑)。

スタイリスト
高塩 崇宏
栃木県生まれ。2009年に独立し、雑誌やカタログなど多くのファッションメディアの他、アーティストのスタイリングも手がけ、マルチに活躍するスタイリスト。ヤング誌から大人向けのメディア、アウトドアやゴルフも手がけており、ジャンルも多岐に。
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