半田悠人スペシャルインタビュー

ECOALF

  • 2020.11.19

20AW COLLECTION SPECIAL INTERVIEW

循環するシステムを考えたら、みんなが幸せになる。

建築家
半田 悠人さん Yuto Handa

残すよりも使い倒す。その場所にとって最善の道を。

私は建築家として活動中ですが、この業界では珍しく自主運営にも力を入れています。というのも、40代でもまだ若手と呼ばれる建築業界で、30代の自分に何ができるんだろうと、新しい建築家像を模索していました。施主の依頼に120%応えるのはもちろんですが、もっと自由にできないかと。そんなときに出会ったのが「日暮里金美館」でした。

30年近く昔に閉館したまま取り残されていたその映画館を前に考えたのが、「終わるデザイン」です。いずれ取り壊されますが、どうやって華々しく終わらせられるか。お寺のように保存・修復するのではなく、使い倒せるのが第一条件。だから、改修する部分としない部分のルールを細かく決めました。折れたところは折れたまま。近所のお年寄りも来てくれるように、スクリーンや幕も残しました。壁の上半分は汚れたまま、下半分はギャラリーに使いたいという声に応えて白く塗装しました。「元映画館」という名前のイベントスペースとしてオープンすると、いろいろな使われ方をされて、近所の人も「懐かしい!」と言ってくれています。

捨てたゴミは、世界のどこかに残っている。

建物の解体現場では大量のゴミが出ます。はじめは仕方ないとあきらめていましたが、さすがに量が多すぎるので問題視するようになりました。普段でも、袋に入れてゴミ置き場に置いた瞬間に自分のものではなくなって、そのゴミがどこへ行くか知りませんよね。でも、なくし物と同じで世界のどこかには必ずあるんです。だから、たとえば空き家を物々交換所にするような循環システムを考えたら、みんなが幸せになると思います。

循環という点では、木材には大きな可能性があります。今までは、山に木がたくさん生えていないと、と思っていました。でも、木は伐採されても二酸化炭素を保有したままなので、ずっと使われ続ければ、燃やさない限り大気中に二酸化炭素は放出されないんです。仕事では廃材の木片を固めたMDFやOSBというボードをよく使います。エコだけでなく単純にかわいいという理由でもありますが。「元映画館」では、古い木造住宅から譲り受けた木材を柱に使ったり、倉庫の窓をリサイクルしたりしています。そういう意味では循環しているのかもしれませんね。

WITH 20AW COLLECTION

再生素材から生まれたとは思えないくらいデザイン性が高い、というのがECOALFの第一印象です。「自分は地球環境に貢献している!」と満足するためにお金を払うのも決して悪くはありませんが、自分には少しだけ抵抗があって、むしろただカッコいいから着ているうちに「エッ、これ地球環境にいいの?」と気づくようなブランドだと感じました。しかも温かくて、ウォータープルーフでポケットが深いから、釣り用のウェアにいいですね。今度、震災復興のプロジェクトで東北に向かいますが、そこにも着て行こうかなと思います。ECOALF、今後動向を追っていきたいです。

ICEBERG ロングダウン コート / ICEBERG LONG JACKET ¥69,300(税込)

半田 悠人さん

1988年、神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、東京藝術大学美術学部建築科入学。2017年に総合芸術制作会社DELICIOUS COMPANYを法人化。建築設計からグラフィックデザイン、プロダクトデザイン、アートインスタレーションまで数々のプロジェクトを手がける。

Instagram:@yutohanda

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