あなたの印象を変える最旬着こなし気持ちいい春に「悪目立ちしない」上手な着くずし方


 

“ドレスダウン”というとどんな着こなし方を連想しますか? ポール・スチュアートのウィメンズディレクター見上きよみはこう答えます。「私は、隙のない完璧なコーディネートが少し気恥ずかしく感じます。着くずし=ドレスダウンとはラフに着ることではなく、ファーマルなジャケットに着慣れたリネンシャツを合わせたり、ビジネスジャケットにエスニックな小物を合わせて休日に着るなどのさりげないテクニックだと思います」――新しい春に、オフィスから週末まで使える“大人の女性のきれいな着くずし方” を解説します。

 

Photo. Shimpei Suzuki / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN

 

 

 

ディレクターの見上いわく、「さりげないオシャレとは肩の力が抜けた自然な着こなし。TPOが求められるシーンではきちんと見えて、“分かる人”が見ると、ちょっとしたトレンド感やコナレ感が見て取れる」そんな着こなし方のこと。“分かる人”とはもちろんファッション感度の高い人という意味です。

その極意の一つが、「生地の質感の良さ」。下のTシャツ感覚のトップスとガウチョパンツのセットアイテムは、とろみのあるきれいめなストレッチ素材で、オフィスにも対応する上質さを兼ね備えます。

ひとことで言えば、Tシャツとゴムパンの楽チンセットアップで、このままリゾートに遊びに行けそうですが、ファーストバッグとパンプスにチェンジするだけで、きちんと感がグーンとアップするのは上品な素材のなせる効果。「着やすいのにきちんと見える」の好例です。

 

 

 

プレーンソフトストレッチ ブラウス
上質なトリアセテート素材で、同素材のパンツとセットアップで着用できるブラウス。袖はキモノスリーブになっていて、リラックス感がありながらエレガントにも着こなせるのが魅力。着丈も短めなので、フレアスカートやプリーツスカートとも好相性です。

プレーンソフトストレッチ パンツ
ブラウスと同素材のワイドパンツ。フロントはインタックになっていて、腰周りに程よい分量感をプラス。後ろウエスト部分はゴム仕様なので、ストレスフリーに着用でき、単品でも大活躍間違いなし。

 

 

 

花冷え、春冷えのある3月から4月にかけては、ジャケットは必需品。でも、テーラードジャケットだとちょっと硬いイメージ……なら、ショールカラーをお薦めします。いわゆる“へちま襟”ですが、角のない曲線が小顔効果をもたらし、襟が付いていることで適度な「きちんと感」もあって、TPOが広がります。

ちょっと懐かしいクラシック調のジャケットに合わせるのは、ノースリーブのタートルネック。タートルネックのきちんと感に肩見せの意外性が女性らしいアイテムで、オフィスに旅行にと大活躍します。ボトムスは白のリラックスパンツにして、メリハリのあるカラーリングを楽しみましょう。

シャツやブラウス以外にもニットなど柔らかい素材のインナーにも合わせやすいへちま襟のジャケットは、写真のグレー系の他に、カプチーノの上に浮いている泡ようなブラウンがあります。

 

 

 

メランジバスケット ジャケット
ミックス感のあるインポート素材を使用したヘチマカラーのジャケット。短めの着丈はワンピースやロングボトムとも相性が良く、女性らしくエレガントに着こなせます。

ハイツイスト綿シルク ノースリーブ
長めのタートルネックに、肩が少し隠れるようなやや広めの肩幅に設計。同素材のカーディガンとツインで着たり、ジャケットのインナーでも重宝します。

 

 

 

チェックは目立つ柄ですが、このインポート生地はクラシックなガンクラブチェックで、ベージュベースなので無地のような落ち着きがあります。ノーカラーとボタンの見えない比翼仕立てのシンプルなデザインのコートですが、カーディガン的に羽織って、“コナレ感スタイル”を演出。愛用のデニムを合わせてお散歩などオフィス以外でも使えるアイテムです。

同素材のタイトスカートを合わせれば、ポール・スチュアートらしいセットアップも楽しめて、さらにコサージュやブローチをプラスしておでかけやセレモニーなど、華やかなシーンでも着映えします。

今、街を歩くと、若見えするトレンチコート一辺倒ですが、年齢を選ばずに、フォーマル風にもカジュアルにも着こなせるアウターは、上手に着くずせる第3の極意。クローゼットに一着あると大助かりです。

 

 

 

コットンリネンガンクラブチェック コート
素材は麻55%・綿45%で、イタリアのメーカーの生地を使用。軽やかで着心地が良く、上品なガンクラブチェック柄で、同素材のスカートもあり。デザインポイントは襟元のファネルカラーで、首が細くきれいに見えます。

ハイゲージスムース プルオーバー
イタリア製生地を使用した、エレガントな着合わせができるカットソー仕立て。袖は身頃続きで優しい雰囲気をアピールします。

 

 

次回、STYLE LESSON for WOMEN Vol.3~あなたの印象を変える最旬着こなし~は、「初夏を楽しむカジュアルアップ」を取り上げます。お楽しみに。

 

 

Information

 

見上きよみ(みかみ きよみ)
ポール スチュアート ウィメンズディレクター 1963年生まれ。パリ留学後、株式会社ビームスに入社し、パリオフィス開設のため再び渡仏。帰国後、「ルミエール ビームス」を立ち上げ、インターナショナル コレクション バイヤーとして活躍。89年にユナイテッドアローズの創業メンバーに加わり、ウィメンズ ドレス バイヤーやオリジナルブランドの企画、さらに「グリーン レーベル リラクシング」を立ち上げて、ウィメンズとキッズの企画に携わる。2011年にフリーのブランドディレクターになり、17年より現職。