鴨志田康人流ウェルドレッサー術 2020年春夏のオフィスカジュアル~ドレスダウンでもエレガントさを失わないコツ~
ポール・スチュアートの日本におけるディレクターの鴨志田康人が着用しているのは、オリーブグリーンのスーツにクルーネックのボーダーニットTシャツ。「ポール・スチュアートは“ソーシャル”という意味でのドレススタイルを中心に据えているので、スーツは普遍的な軸ですが、スーツをドレスダウンしていくときに、ただネクタイを外すだけではない着こなしの提案をしていきたい。このコーディネートは、遊びでスーツを着たときの参考例です」と解説します。「STYLE LESSON for MEN」第4回は、これから迎えるシーズンに知っておきたい、大人のドレスダウン術です。
Photo. Riki Kashiwabara,Shimpei Suzuki / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN
シーズンテーマかつブランドコンセプトは、“アメリカン・グラマー”
ポール・スチュアートメンズの2020年春夏シーズンのテーマとして“アメリカン・グラマー”を掲げていますが、これは自分の中ではブランドの根幹でもあります。ポール・スチュアートを一言で表現するなら、アメリカンスタイルのグラマラス(魅惑的)であり、そのグラマラスなスタイルや世界観は、数あるアメリカントラッドブランドの中で、他と最も違うところ。コレクションではアメリカン・グラマーをもっと膨らませていきたい。
アメリカン・グラマーのカラーパレットでは、春夏らしい色で、今の時代感を象徴するカラーとしてベージュやカーキを挙げます。ベージュやカーキは1930年代から70年代に生きた男たちの春夏のワードローブのマストカラーで、素材はリネン、コットン、サマーウールなどがあり、季節感にフィットして男らしいし、なによりカッコイイ。現在のネイビーやグレー一辺倒のメンズドレスの世界に積極的にアピールしたいと思っています。
ドレスダウンといっても、スーツそのもののクオリティは上質であることが前提です。仕立ての良いスーツは着くずしても見栄えが良くて、貧弱には見えません。自分はスーツにTシャツなど極端な合わせを積極的にするようにしていますが、アンコンタイプや機能性優先の化繊素材のスーツでは、どうしてもチープ感が出てしまいます。大切なのは、「人に与える印象」ですから、ドレスダウンといっても手を抜かないように。
上右のコーディネートは、オリーブグリーンのスーツに、襟がワイドスプレッドのベージュのシャツを合わせました。スカーフをせずにポケットチーフでさり気なさを演出しています。
上左のコーディネートは、カッタウェイのラベンダーのシャツに、季節を感じさせる色のバンダナをプラス。遊び心のある色合わせで、日焼けした精悍な顔に似合いそうです。
シャツの襟型は知れば知るほど楽しいもので、たとえばレギュラーカラーは、ネクタイをして始めてバランスがとれる襟型です。「ネクタイをしない」ドレススタイルなら、バンドカラーやイタリアンカラー、オープンカラーのシャツ、あるいはクルーネックのサマーニットなどが好相性になります。
上の着こなしは、グレンプレードのスーツのモノトーンを活かすために、白のバンドカラーシャツを合わせたミニマムなカラーコーディネート例。レザーベルトではなく、グレートーンのグログランのリボンベルトをすると、ドレススーツに粋なヌケ感が出て、とてもシックな装いになります。ぜひお試しください。
次回、STYLE LESSON for MEN Vol.5~鴨志田康人流ウェルドレッサー術~は、「初夏を楽しむカラーコーディネートレッスン」を取り上げます。お楽しみに。