クールビズも休日の軽装も
足元から装いを格上げする
~ スクエアトゥ編 ~
三陽山長で展開している木型(ラスト)は、大きく分けると「ラウンドトゥ」と「スクエアトゥ」の二つに分類できます。では、この両者の違いとは何でしょうか?
ラウンドトゥはつま先が緩やかに弧を描いた丸いシルエットで、フォーマルからカジュアルまで馴染みやすい王道デザインと言えます。まず一足目は、このラウンドトゥが使いやすいでしょう。いっぽうスクエアトゥとはつま先が四角いシルエットの靴の総称。クラシカルな雰囲気のシルエットは、堅実で落ち着いた印象を与えてくれます。また、三陽山長のスクエアトゥはノーズが長すぎず端正な印象を担保し、それでいてシャープな曲線美を描く木型を採用してるので、普段ラウンドトゥをご愛用されている方でも比較的すんなり履くことができます。
今回は「スクエアトゥ」のモデルより、夏靴にお勧めしたいモデルを厳選四傑ご紹介。クラシカルかつモダンなラインナップから、お気に入りの一足を見つけてください。
その名の通りまさに芸術的
唯一無二の風格で魅了する革
【匠 琴之介/TAKUMI KINNOSUKE】
アデレードホールカット
1930年にイタリアはトリノで設立された「ILCIA(イルチア)社」は、伝統的な製法で最高峰のカーフレザーを作り続けている老舗タンナーです。同社はトスカーナ地方の大規模なヌメ専門タンナー“Vecchia Toscana Group S.p.A.”を親会社に持つことで、 潤沢な原皮の中から特に厳選した上質な原皮のみを使用し、特別な皮革を生産することを可能にしています。そしてイルチア社を象徴する高級素材が、きめ細かなボックスカーフに何度も染色を重ねることで美しいムラ感を表現している「RADICA(ラディカ)」、通称“ミュージアムカーフ”と称されるボックスカーフです。そんな高級素材を贅沢にアデレードホールカットで仕立てた「匠 琴之介」からは、ニッポン靴職人が描く曲線美と粋が薫ります。
アデレードとよばれる竪琴形の切り替えをシューレースの周りに手縫いであしらったデザインが目を惹く「匠 琴之介」。ドレッシーな内羽根プレーントウながら、印象的な曲線美が効いてさりげない色気を醸し出す一足。その魅力を、バーガンディの「ラディカ」レザーがいっそう引き立てます。秋冬ならフランネルやコーデュロイ、春夏ならリネンやコットンといった、表情ある生地と相性抜群です。
こちらはネイビーの「ラディカ」を採用。室内ではブラックにも見えますが、光を受けると深みのある紺が浮かび上がります。ムラ染めが施されたニュアンス豊かな色合いは、ポリッシュをかけた際の表情も極めて美麗。ライトグレーからダークネイビーまで、さまざまなトーンのスーツとマッチする懐の広さも魅力。黒靴、茶靴に次ぐ第三の定番として揃えれば、装いの幅がグッと広がるはず。
大人の足元に寄り添う適度な主張
高い汎用性でオンオフ共に好相性
【勇也/YUYA】
パンチドキャップトゥ
ラウンドトゥラストR2010を採用した「弦六郎」、スクエアトゥラストR309を採用した「勇之介」に次ぐ、ショートノーズスクエアトゥR3010を採用したパンチドキャップトゥ「勇也」。R2010のフィット感と機能美はそのままに、R309が持つ洗練された曲線美を融合したR3010ラストは、オンオフ兼用を叶える汎用性の高さが魅力。装いを引き締めると同時に、ほどよい余裕を与えてくれる「勇也」は、ストレートチップとブローグシューズ両方の魅力を持ち合わせています。
キャップ部分の親子穴とアイレット横の小穴が特長のパンチドキャップトゥ「勇也」。控えめな穴飾りが、主張しすぎない適度なエレガントさを足元に演出します。昨今の多様なライフスタイルに寄り添い、ビジネスにも休日カジュアルにも合わせやすい高い汎用性も魅力です。ラストは流麗にして馴染みやすい「R3010」を採用し、底材はオリジナルラバーソールで安定した履き心地を提供します。
履きこめば履きこむほどにエイジングをし、磨けば磨くほどに光沢を発するきめ細やかなイタリアンレザーを採用しているオークブラウンカラーの「勇也」は、靴になった後に職人が一足一足手作業にて丹念に染色を行なう「ハンドフィニッシュ」を施しています。手仕事から生まれる絶妙な塩梅の色彩は、アンティーク調のムラ感や鮮やかな表情が魅力的。趣深い経年美化も楽しめる一足です。
ニッポンの美学が細部に宿る
その名に恥じない流麗な佇まい
【煌之介/KONOSUKE】
パーフォレーションロングヴァンプ
漆黒からは荘厳さを、濃淡が美しい栗色からは古き良き趣きを。国産紳士靴作りの聖地「浅草」から生み出される美麗にして流麗な造形美は、革が持つポテンシャルを最大に引き出し、それぞれの長所を遺憾なく発揮させてくれる。細部まで丁寧に。ニッポン靴職人だからこそ成せる技と粋が詰め込まれた一足です。
甲の部分から踵まで革の切り返しがあるロングヴァンプのプレーントゥ。アッパーに施されるスワンネックステッチとパーフォレーションが、端正な顔立ちに程よく主張を加えています。「煌」の字をその身に宿す「煌之介」からは、その名に恥じない美しさを感じ取れます。
スクエアトゥラスト「R309」を採用し、洗練かつ定番という両立を実現。 ロングヴァンプを採用した甲革には、深みのある独特なムラ感を表現した、伊・イルチア社製「ラディカ」、通称“ミュージアムカーフ”を採用。繊細な穴飾りと共に、あくまでも品良く足元を艶やかに彩ります。
休日も革靴を愉しみたい
華と実用性を兼ねる一足
【燕也/ENYA】
フルブローグレイジーマン
ここ最近は、休日も革靴を愉しむお客様が増えているように感じます。より上品に、心地よい休日を楽しむ。多忙を極める平日は、むしろ軽量でクッション性の高いドレススニーカーを選び、休日に思う存分革靴を嗜む。そんなルーティンも素敵だと思います。軽装になる盛夏、フルブローグのデザインが足元から品格を整えつつ、レイジーマンタイプで脱ぎ履きのしやすさも担保している「燕也」は、大人の休日をより充実させてくれることでしょう。
イミテーションシューレースにサイドエラスティックで脱ぎ履きのしやすいレイジーマンタイプの「燕也」。華やかなフルブローグのデザインに着脱容易な仕様で汎用性の高い一足です。 採用している木型「R3010」は、三陽山長を代表するラウンドトゥR2010とスクエアトゥR309を融合したラスト。小ぶりなヒールカップ、ラストの丸み、膨らみ、絞り、流れるような曲面が機能美を極めたシルエットとフィッティングを生み出します。
イタリアの名門・イルチア社が手掛ける「ラディカ」、通称“ミュージアムカーフ”による濃厚なマーブル模様が足元で色気を匂わせてくれるダークブラウンカラーの「燕也」。流れるような曲線のラストR3010やフルブローグも相まって、実に華やかです。 よく見ると、実はこのシューレースはイミテーション。サイドにエラスティックが配されており、シューレースを解かずともスリップオンできる実用性も併せ持つ一足です。
日本の夏はここ数年で長く、そしてさらに暑くなっているように感じます。より軽装に、より快適に過ごしたいと思うことは至極当然のことですが、だからこそ革靴の有用性を体感していただきたいと思います。
品質本位を信条に掲げ、ニッポンの「技・粋・匠」を体現し続ける三陽山長の革靴。是非一度、店頭にてお試しいただけますと幸いです。
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