【令和五年 師走】
冬の装いを足元から彩る
三陽山長の華麗なる紳士靴
師走も後半を迎え、いよいよ本格的な冬が到来しました。街はイルミネーションで華やかに彩られ、すれ違う人々の装いもどこか優雅に感じ取れる。年末年始が近づくにつれ、忘年会や新年会といったイベントも続きますが、その際皆さまは足元まできちんと気を遣えておりますでしょうか。
「お洒落は足元から」という格言があるように、装いの要は靴であると言っても過言ではありません。ドレスアップをしても足元がその装いに見合っていないと、全体のバランスが悪く見えてしまうだけでなく、せっかくのお洋服も魅力が最大限発揮されません。
きちんと手入れが行き届き、かつ、いつもより少し華やかな紳士靴で足元から装いを彩る。この時期に最適なドレスシューズをご紹介させていただきます。
【匠 琴之介/TAKUMI KINNOSUKE】
アデレードホールカット
令和五年秋、「匠」シリーズとして復活を果たしたモデル。アデレードとよばれる竪琴形の切り替えをシューレースの周りに手縫いであしらっているのが特徴で、ドレッシーな内羽根プレーントウながら、印象的な曲線美によりさりげない色気を醸します。その魅力を、バーガンディの「ラディカ」がいっそう引き立てる。秋冬ならフランネルやコーデュロイ、春夏ならリネンやコットンといった表情ある生地と好相性です。
一方で、ネイビーの「ラディカ」を採用した一足は室内ではブラックにも見えますが、光を受けると深みのある紺が浮かび上がります。ムラ染めが施されたニュアンス豊かな色合いは、ポリッシュをかけた際の表情も極めて美麗。ライトグレーからダークネイビーまで、さまざまなトーンのスーツとマッチする懐の広さも秀逸です。黒靴、茶靴に次ぐ第三の定番として揃えれば、装いの幅がグッと広がるはず。
【匠 弦六郎/TAKUMI GENROKURO】
パンチドキャップトゥ
つま先とアイレット横にのみ、パーフォレーションと呼ばれる穴飾りを手作業で施したパンチドキャップトウ「弦六郎」の「匠」仕様。ストレートチップと比べ、少しだけ華やいだ印象を演出できる程よい主張が魅力です。ビジネスシーンならどんな場面もカバーでき、さりげない洒落心も楽しめます。
これまでは王道の黒のみの展開でしたが、令和五年秋よりイタリア・イルチア社が手がける「ラディカ」を甲革に採用した新色が登場しました。まるで絵画のように濃淡がつけられたダークブラウンは、シックかつアーティスティックな表情を足元に演出します。もちろん、スーツからジャケパンまでカバーする汎用性は健在。ビジネススタイルに彩りと洗練を加えてくれます。
【煌之介/KONOSUKE】
パーフォレーションロングヴァンプ
甲の部分から踵まで革の切り返しがあるロングヴァンプのプレーントゥ。アッパーに施されるスワンネックステッチとパーフォレーションが、端正な顔立ちに程よく主張を加える。「煌」の字をその身に宿す「煌之介」からは、その名に恥じない美しさを感じ取れます。
漆黒からは荘厳さを、濃淡が美しい栗色からは古き良き趣きを。国産紳士靴作りの聖地「浅草」から生み出される美麗にして流麗な造形美は、革が持つポテンシャルを最大に引き出し、それぞれの長所を遺憾なく発揮させてくれる。細部まで丁寧に。ニッポン靴職人だからこそ成せる技と粋が詰め込まれた一足です。
【燕也/ENYA】
フルブローグレイジーマン
「休日も革靴を楽しみたい」―――最近、そんな嬉しいお言葉をよくお伺いするようになりました。より上品に、心地よい休日を楽しむ。多忙を極める平日は、むしろ軽量でクッション性の高いドレススニーカーを選び、休日に思う存分革靴を嗜む。そんなルーティンも素敵だと思います。
華やかなイベントが多い師走、上品なコートスタイルにも夜のイルミネーションにも映えるよう、三陽山長がご提案差し上げるフルブローグの新定番。レースアップタイプではなく、イミテーションシューレースにサイドエラスティックで脱ぎ履きのしやすいレイジーマンに、優雅な装飾を施しました。汎用性の高さも魅力の「燕也」は、休日の装いをより楽しませてくれることでしょう。
【勘三郎/KANZABURO】
スキンステッチUチップ
世界的に見ても希少な職人技によって作られた一足。工芸品のようなたたずまいを宿す一方、程よくカジュアルなデザインのため合わせる洋服を選ばない使いやすさも備えています。スーツやジャケットに合わせてビジネスシーンに活用するのはもちろん、ジーンズに合わせて休日スタイルに取り入れてもよし。汎用性高く、いつ如何なる時でも足元から装いを昇華する。時代が移り変わっても、流行が変化しても、マスターピース「勘三郎」の佇まいは変わりません。
重厚な品格と軽快感を兼備した立ち姿を演出する、華麗なる一足の真打ちです。
【源四郎/GENSHIRO】
ダブルモンクストラップ
三陽山長の双璧、ストレートチップ「友二郎」とスキンステッチUチップ「勘三郎」と共に、ブランド創業当初より長らくご愛顧いただくダブルモンクストラップ「源四郎」。二つのバックルと二本のベルトにより、クラシックな佇まいながらも華やかな足元を演出します。着脱のしやすさも脱ぎ履きの多い日本に適したデザインです。
ビジネスシーンから休日カジュアルまで、足元にアクセントを添えるのに最適な一足と言えるでしょう。
【寿三郎/JUSABURO】
セミブローグ
「仕事も休日も、本格的な紳士靴を楽しみたい」―――お客様からいただいた「声」に導かれるように、「寿三郎」は令和四年春に復刻しました。装いの歴史は繰り返す、だからこそ、クラシックシューズの魅力は尽きないのでしょう。ドレスシューズの中でも華やかな表情を持つセミブローグは、ビジネスは勿論、上品なカジュアルスタイルにも好相性で、足元から装いを彩ります。
ストレートチップよりもスタイリッシュに、フルブローグよりも控えめに、この塩梅が「寿三郎」の魅力です。
【勇也/YUYA】
パンチドキャップトゥ
ラウンドトゥラストR2010を採用した「弦六郎」、スクエアトゥラストR309を採用した「勇之介」に次ぐ、ショートノーズスクエアトゥR3010を採用したパンチドキャップトゥ「勇也」。R2010のフィット感と機能美はそのままに、R309が持つ洗練された曲線美を融合したR3010ラストは、オンオフ兼用も可能とする汎用性の高さも魅力。
装いを引き締めると同時に、ほどよい余裕を与えてくれる「勇也」は、ストレートチップとブローグシューズ両方の魅力を持ち合わせています。現代において冠婚葬祭の葬以外には使用出来る汎用性の高い一足です。
【極 弥七郎/KIWAMI YAHICHIRO】
スキンステッチローファー
【極 勘三郎/KIWAMI KANZABURO】
スキンステッチUチップ
20年以上にわたってニッポン靴の頂を追求してきた三陽山長の品質、ここに極まれり。そんな矜持を込めた最高級コレクション「極」シリーズには、手縫い技の最高峰である"スキンステッチ"を施したモデルがあります。
「Uチップ」は1930年代頃に登場したと言われており、国によって独自の発展を遂げてきました。ストレートチップほど堅い印象を与えず、フルブローグよりも落ち着きのある絶妙なバランスが魅力で、国ごとに出自は異なるものの、スポーティな印象をまとっているのは明らかです。もはやビジネスにおいても定番化した「ローファー」も、その歴史を辿ると1920年代に英国王室や貴族階級のルームシューズが、その利便性とデザイン性の高さから外履き用途で人気となり流行したというルーツを持つと言われています。
つまり、いずれもその出自はオフの日の靴ということ。最高の一足で、至極の休暇を楽しむ。そんな一日があってもいいのではないのでしょうか。ドレスシューズと聞くと背筋が伸びる気がしますが、出自がオフの日の靴であると知れば、さらに愛着を持って休日にも愛用したくなることでしょう。